滅亡確率の推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:37 UTC 版)
「人類の滅亡」という事件には前例がないため、それが起きる可能性を計算するには多分に主観的にならざるを得ない。ニック・ボストロムは、人類絶滅の確率を25パーセントより少ないと設定することは見当違いであり、人類が「初めての事態にして、我々の警告を効果的かつ正しく受け入れる」ことは「無理な相談」であるとしている。というのも、人類絶滅確率を提示したところで、我々が失敗から学ぶことはできないからだという。より楽観的な推測としては、哲学者のジョン・レスリーが、500年後に人類が存続している可能性は70パーセントという予想を出している。これは彼自身が組している、議論の的となっている哲学的な世界終末論に拠っている。2006年にイギリスで発表されたスターン報告では、経済的な計算から、100年以内に人類が滅亡する確率を10パーセントとしている。 世界規模の核戦争などでは、すべての人類が殺される真の意味での絶滅は起こりづらいと考える学者もいる。 物理学者のウィラード・ウェルズは、本当に人類を絶滅させるシナリオというものは、大都市の地下鉄やチベットの高地、南太平洋の隔絶された島々、さらには長期間の孤立を耐える計画と物資を有している南極のマクマード基地に至るまで、すべての地域に住む人間を対象としなければならない点を指摘している。加えて、核戦争に備え政府要人が退避するための核シェルターもすでに地上に多く存在している。人類の数を激減させる方法はいくつも存在するが、いずれにおいても最小存続可能個体数を上回る人類が生存する可能性が高い。それゆえ、人類滅亡の確率を計算するのはあまり意味がない、とする説もある。
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