温度の表現(飲用温度)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:45 UTC 版)
これも統一された用語というわけではないが標準的なものを示しておく。ただし、2000年代初頭では「冷や」が拡大解釈され、常温よりも冷やしたものを指して用いられていることもある。 日本酒の温度表現名称飲用温度備考飛び切り燗(とびきりかん) 55度前後 香りが凝縮し、最も辛口に感じられる。 熱燗(あつかん) 50度前後 香りはシャープに、味わいはキレがよくなる。 上燗 45度前後 香りがきりっと締まり、味わいは柔らかさと引き締まりが出る。 ぬる燗 40度前後 香りが最も大きくなり、味わいにふくらみが出る。 人肌燗 37度前後 米や麹の香りが引き立ちサラサラとした味わい。 日向燗(ひなたかん) 33度前後 香りが立ってくる。なめらかな味わい。 冷や 常温 冷蔵庫などで冷やしたものが「冷や」ではない。 涼冷え(すずびえ) 15度前後 フルーティーさやフレッシュさが感じられる。 花冷え 10度前後 最近は「冷や」と区別するために「冷やして」などともいう。 雪冷え 5度前後 いわゆる「キンキンに冷やした」もの。 (霙(みぞれ)) -10度前後 冷凍庫で短時間、静かに冷やした後、注ぐと透明からシャーベット状に変化する。 一般に温度上昇によって、舌に感じられる酸味が相対的に下がり、旨味が上がることから、「冷や」から「熱燗」くらいまでの温度帯に限っておおざっぱにいうならば、上に行くほどコクと深みを持った味になり、また辛さを感じるようになる。生酛系や純米系など、昔からある製法で造っている酒では、冷やで飲んでもさほど印象的でなかった酒が、燗にすると本領を発揮し、奥深い味を展開することが多い。そういう酒は「燗映え(かんばえ)する」という。また燗をしたときに、温かさがほんのり酒全域に均等に行き渡り、その酒の良さがうまく引き出されることを「燗上がり(かんあがり)する」という。うまく燗上がりさせるのに最も確実な方法は、徳利に入れて湯煎することである。猪口に入れて電子レンジで温めるのも多少は有効だが、中にムラができやすい。いちど燗をした酒がふたたび冷えることを「燗冷まし(かんざまし)になる」という。ていねいに造ってある酒は、燗冷ましになってもそれなりに味わいがあるが、そうでないものは風味のバランスが崩れ、薬品のようなアルコール臭が上立香としてのぼってくる。これを「燗崩れ(かんくずれ)」という。
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