淺井了意とは? わかりやすく解説

あさい‐りょうい〔あさゐレウイ〕【浅井了意】

読み方:あさいりょうい

[1612ころ〜1691]江戸前期仮名草子作者武士から浄土真宗の僧となった。号は瓢水子松雲著作に「御伽婢子(おとぎぼうこ)」「狗張子(いぬはりこ)」「東海道名所記」など。


浅井了意

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/03 14:20 UTC 版)

浅井 了意(あさい りょうい、慶長年間 - 元禄4年1月1日1691年1月29日[1][2])は、江戸時代前期の仮名草子作家、浄土真宗僧侶。号は松雲・瓢水子・羊岐斎など[1][3]摂州三島江出身[1]。初期の作品に『堪忍記』(万治2年〈1659年〉)『可笑記評判』(万治3年〈1660年〉)『かなめいし』(寛文2年〈1662年〉)など。寛文6年(1666年)刊行の『伽婢子』は怪奇物の先駆として知られる。

経歴

慶長の頃、摂州三嶋江(高槻市)の本照寺(現碧流寺)の住職をしていた西川氏の家に生まれる[4]。了意の父は真宗大谷派の僧侶だったが、弟の西川宗治の東本願寺出奔事件に連座したため、真宗から追放されて還俗した[1]。このため、了意は流浪の日々を送ったと推測されるものの、その前半生の詳細は不明である[1]。壮年期は大坂に住み、寛永末年には京都に移住した[1]江戸名所記』『東海道名所記』『むさしあぶみ』などの作品があることから、江戸にも往来ないし一時居住したことがあったと考えられている。[要出典]

容膝に師事して儒学仏道神道の三教に通じた[1]。当時から博覧強記ぶりは有名で、『鸚鵡籠中日記』にも「彼博識の了意」と記述がある[2]。後に出家して大谷派に戻り、京都の菊本町の正願寺の二世住職となり、1675年(延宝3年)4月11日に本性寺の設立を許された[1][4]。晩年は本性寺昭儀坊了意と名乗った[1][5]

元禄5年(1692年)に刊行された『狗張子』によれば、元禄4年元旦(1691年1月29日)に昭儀坊で亡くなったという。享年は80歳程度と推定されている[1][2]

1973年、大谷派は学匠として了意を顕彰し、学階嗣講を追贈した[1]

著書

仮名草子の代表的な作者と位置づけられ、仏教学者・唱導家として仏書や訓詁注釈書も数多く著した[1]。仏書は明治・大正期に至るまで、布教資料として活用された[1]

仮名草子

仮名草子だけでも30部余りの作品がある。

  • 『堪忍記』(万治2年〈1659年〉)
  • 『可笑記評判』(万治3年〈1660年〉)
  • 伽婢子』(寛文6年〈1666年〉刊)- 怪奇物の祖として後世に大きな影響を与えた[6]
  • 本朝女鑑
  • 浮世物語』- 浮世坊が諸国を巡遊する物語。「仮名草子」から浮世草子への過渡期の作品[6]
  • 狗張子』(元禄5年〈1692年〉刊)

名所記

その他

校訂本

  • 2007年8月より『浅井了意全集』(岩田書院、全19巻:予定)の刊行が開始されている。

関連項目

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 日本古典文学大辞典編集委員会『日本古典文学大辞典第1巻』岩波書店、1983年10月、36頁。 
  2. ^ a b c 岡本勝, 雲英末雄編『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年2月、28-29頁。 
  3. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 21、22頁。
  4. ^ a b 北条秀雄『新修浅井了意』笠間書院、1974年
  5. ^ a b 知野泰明「近世の災害」/ 北原糸子編著 『日本災害史』 吉川弘文館 2006年 235ページ
  6. ^ a b c 『江戸時代人物控1000』山本博文監修、小学館、2007年、12頁。ISBN 978-4-09-626607-6 

参考文献




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