混合ホッジ構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 14:21 UTC 版)
ヴェイユ予想を基礎として、1960年代にはジャン=ピエール・セール(Jean-Pierre Serre)は特異点をもつ(可約かもしれない)完備ではない代数多様体でさえも、'仮想ベッチ数'を持つはずであることに気づいた。詳しくは、任意の代数多様体 X に多項式 PX(t) を対応させることができ、次の性質を持つことが可能であることに気づいた。 X {\displaystyle X} が非特異で射影的(もしくは完備)であれば、 P X ( t ) = ∑ rank ( H n ( X ) ) t n {\displaystyle P_{X}(t)=\sum {\text{rank}}(H^{n}(X))t^{n}} となる。 Y {\displaystyle Y} が X {\displaystyle X} の閉じた代数的部分集合で U = X ∖ Y {\displaystyle U=X\setminus Y} であれば、 P X ( t ) = P Y ( t ) + P U ( t ) {\displaystyle P_{X}(t)=P_{Y}(t)+P_{U}(t)} が成り立つ。この多項式を仮想ポアンカレ多項式と呼ぶ。 そのような多項式の存在は、一般的な(特異点を持った非完備な)代数多様体のコホモロジーに対しホッジ構造の類似が存在することから導出可能である。新しい特徴は、一般の多様体の n 次コホモロジーがあたかも異なるウェイトに対応する部分をもっているかのように見えることである。このことがアレクサンドル・グロタンディーク(Alexander Grothendieck)を混合モチーフ(Motive)という予想を含む理論へと導き、ホッジ理論の拡張を研究する動機を与えた。この理論はピエール・ルネ・ドリーニュ(Pierre Deligne)の仕事で頂点をなした。彼は混合ホッジの概念を導入し、それらを扱うテクニックを開発し、それらの構成を与えた(広中平祐の特異点の解消(英語版)に基礎をおき、それらをl-進コホモロジーを関連付け、ヴェイユ予想の最後の部分を証明した)。
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