消費地課税主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)
生産と消費は一対の取引として行われるものであるが、これらが国境をまたがる場合には、どの時点で課税するかによって、制度の趣旨が変化することになる。日本の現行制度は、生産時点で一旦課税したものを消費地課税主義に基づいて調整するものであるが、その過程で輸出企業に対して還付が行われることから、消費地課税主義に対して批判がなされることがある。なお、生産地課税に基づき輸出取引に課税した場合(輸出取引について仕入税額控除を認めない場合を含む)、輸入消費税はその課税根拠を失うことになる。 輸出事業者むけの消費税還付制度が一種の「補助金」に当たっており不公正だとの主張もしばしば見られる。たとえば税理士の湖東京至(元関東学院大学法科大学院教授)は平成18年度予算を元に、消費税全体の税収が地方消費税を入れて5%で計算すると約13兆円。そのうち約23%の3兆円が輸出企業に還付されていると試算しており、ジャーナリストの斎藤貴男や湖東京至は、消費税は輸出企業への補助金としての側面があり、日本経団連が消費税増税を主張する理由のひとつであると主張している。しかし還付金で儲かるわけではないのでなんら補助金ではなく、これは値下げで儲かるのと還付金で儲かるのとを混同した誤った主張である。 高橋洋一は「こうした仕組みはどこの国にもある。企業は、受け取った消費税分から支払った消費税分を引いた金額を納税(マイナスになれば還付)するため、還付されたからといって収益に変化はない。輸出に対して輸出企業に恩恵を与えているわけでない。国としても、輸出で消費税を還付したとしても、輸入では逆に消費税を課せるため、国内の消費を課税ベースとする消費税では損も得もない」と指摘している。
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