海事代願人の許可・規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/10/06 01:04 UTC 版)
「海事代願人」の記事における「海事代願人の許可・規制」の解説
代願人になるには、管海官庁が必要と認める場合に行われる試験に合格する必要があり、試験は代願人が取り扱おうとする業務事項に関して行われた(第2条2項)。代願人の許可は、許可申請の際に示した取り扱い業務事項ごとになされ、それ以外の業務事項を増加したり、変更したりする場合には、その許可を得る必要があった(同規則第5条)。 また、すでに本規則において、報酬額について管海官庁の許可を受け事務所に公示すること、職印を定めて届け出ること、事件簿の備え付け、管海官庁の立ち入り検査権、業務停止や許可取消といった制裁権などが定められていた(同規則第7条、第8条、第9条3項、第11条)。 業務範囲は代願人の定義において「海事に関する申請、その他の手続き」と包括的に定められているが、これがそのまま代願人の業務範囲となるわけではなく、許可申請の際に個々に取り扱う業務事項を申告し、それに関して試験を受け合格しなければならなかった(同規則第2条)。後の海事代理士法が別表をもって根拠法令と提出機関を明示し条文上代願人よりも限定して職域を定めているのは、このように代願人が、限定して取り扱い業務事項の許可を受けて営業をしていたことに由来する。 代願人と他士業との職域が競合した事例に、船舶登記をめぐって司法書士との関係が問題になった例がある。司法書士法が制定(改正)されたことにより、登記はすべて司法書士の業務となったと解され、代願人が代理人となって船舶登記を申請しても法務局から拒否を受ける事例が相次いだ。しかし、法務省が先例を示し代願人も船舶登記を扱えることで落ち着いた経緯がある。これが後の海事代理士法制定理由のいち要因ともなった。
※この「海事代願人の許可・規制」の解説は、「海事代願人」の解説の一部です。
「海事代願人の許可・規制」を含む「海事代願人」の記事については、「海事代願人」の概要を参照ください。
- 海事代願人の許可・規制のページへのリンク