洪水以前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 07:10 UTC 版)
多くの伝承が最も初期のアイルランドの住人たちについて伝えている。その中で最もよく知られた伝承はケスィル(英語版)率いるヴァン族に関するもので、『アイルランド来寇の書』や、他の初期のテキストによって記録されている。ケスィルはノアの孫娘であったと言われているが、箱船に彼女のための部屋がなかったため、彼女と、彼女に従う50人の女と3人の男は、大洪水が起こり、全ての地を浚ったとき、鮭に姿を変えたフィンタン(英語版)の上に乗って難を逃れた。フィンタンはその後の歴史の中を生き続け、幾度も姿を変えて、彼が救った人々の話を語り伝えた。 キーティングは、17世紀に著した『アイルランド史』の中で、現在では原典が失われたケスィルに関するもの以外の伝承をいくつか書き記している。『Saltair of Cashel』に記された詩は、聖書のカインの3人の娘が、アイルランドを見た最初の人間だと言っている。二つ目の伝承、『Book of Druinm Snechta』に記されたケスィル伝説の変異形では、アイルランドの最初の住民は、バンバと呼ばれる女性に率いられていたという。バンバの名はこの島の名となったと伝承は伝える。彼女は150人の女と3人の男とともにやってきて、40年間暮らしたが、大洪水の200年前に伝染病によって滅亡したという。キーティングが記録した別の伝承は、原典が示されていないが、アイルランドは、嵐によって流れ着いたイベリアの3人の漁師によって発見されたという。彼等はイベリアから妻たちを連れてきてアイルランドに植民したが、それはちょうど大洪水の一年前のことであり、洪水によってみな溺れてしまった。
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