洞内火口の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 15:06 UTC 版)
「大根島第二熔岩隧道」の記事における「洞内火口の存在」の解説
大根島のある旧八束町の教育委員会は2003年(平成15年)、島内にある国の天然記念物に指定されている2つの溶岩洞窟についての調査を、富士山火山洞窟研究会(現、火山洞窟学会)へ依頼委託した。 詳細は「大根島の熔岩隧道」を参照 富士山火山洞窟研究会による調査は同年8月29、30日の両日、特別天然記念物に指定されている大根島の熔岩隧道から開始されたが、その際に第二熔岩隧道について簡易的な予備調査が行われた。 この第二熔岩隧道のある場所(地表面)は、周囲より僅かではあるが小高い丘の頂部にあるため、すぐ南西方向に見える大根島の最高標高点の大塚山(標高42.2メートル)を形成した火山活動とは異なる火山活動によって出来たと考えられた。簡易調査では第二隧道の所在する地点の小規模な地表の盛り上がりが、溶岩の流出によるものなのか、地下のガス空洞によって持ち上げられたものなのかは断定できなかった。ただし第一熔岩隧道と第二熔岩隧道を構成する溶岩は、同じ玄武岩の溶岩であっても、全く同一の玄武岩ではないことが分かっており、大根島では多数の溶岩が流出している。 翌2004年(平成16年)7月16日に富士山火山洞窟研究会はNPO法人火山洞窟学会に名称が変更され、同年8月10日から12日、同18日の4日間にかけ、大根島第二熔岩隧道の詳細な調査と簡易測量 が行われた。 大根島第二熔岩隧道は直線状の本洞(A洞と称する)と、A洞から分かれた円形の支洞(B洞と称する)があり、基点に基づいて算出された総延長は115.5メートルである。 人工的に取り付けられた出入口の階段を下ると、本洞(A洞)が左右に延びており、右方向へは10メートルほど進んで一段下がった円形の溶岩溜まりで終わる。この円形溶岩溜まりは「神溜り(かんだまり)」と呼ばれる場所で、この溶岩洞形成の起因となる溶岩流出孔であって、極めて珍しい洞窟内の噴火口であることが判明した。詳細に観察すると、溶岩が噴出していたころ、この場所は天井がない小規模な噴火口であったが、噴出活動の終息に近づくと溶岩の噴出量が不規則となり、噴出口の周囲の壁に次々に液状溶岩が上塗りされるように重なっていき、やがてフタをするような形で天井部を形成したため、外部へ流出しなくなった溶岩が、ガス溜まりの空洞内部に流れていき。今日みられる本洞を形成したものと考えられた。 大根島第二熔岩隧道に見られる天井の存在する火口と直結した火山洞窟は、火山洞窟が多数存在する富士山周辺を含め、日本国内では本洞以外では確認されていない。
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