法律間の齟齬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:59 UTC 版)
教育基本法、学校教育法、また関連の施行令、施行規則などの教育法規では、在学年齢の下限を間接的に規定しているものの、上限に関する規定はない。むしろ小学校に15歳まで在学する場合も想定した文言が存在するなど、ある程度の年齢的な多様性を許容した書き方がされていると読み取るのが自然である。このように、年齢主義の要素はこれらの法規からは読み取れない。しかし、児童手当法では長い間、小学校は12歳で卒業するものであるということを前提とした書き方がなされていた。また2010年度に成立した平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律では、さらに中学校は15歳で、高等学校は18歳で卒業するものであるということが明文化された。このように、日本政府の法律同士が齟齬をきたしている。条文の詳細は「子ども手当法」に記載がある。 なお実際には、子ども手当法にこのように書かれているからといって、これらの年齢で卒業することを強制されるものではなく、実際にはこれに当てはまらない年齢の在学者も大勢いる。ただし、役所の説明文書などのレベルにとどまらず、正式な法律の条文内に学校の卒業年齢を一律に規定してしまったのは、これらの法律が最初である。以前は、児童手当法での小学校卒業年齢の規定はあったものの、中学校以上での年齢主義を裏付ける記載はまったく存在しなかった。なお、国会などではこれらの在学年齢に関する記述が議題になったことはない。なお、国会議員が全員、最低年齢で小中高と卒業したからそういう発想になったわけではなく、民主党の横路孝弘衆議院議長自身が、16歳で中学校を卒業したという経歴の持ち主である。また高校を卒業していない国会議員(民主党の家西悟)も存在する。 ただし、時の政権党であった自民党、民主党は、特に公約や政策目標に「小中高の在学年齢の画一化」を挙げていたわけではなく、むしろ自民党にいたっては文教族の町村信孝や河村建夫らによる小中学校の異年齢化容認発言もあり、必ずしも積極的に年齢主義を推進しようとする意欲は感じられない。上記のような法律間で齟齬が起きていることについて、ほとんどのマスメディアでは取り上げていない。
※この「法律間の齟齬」の解説は、「年齢主義と課程主義」の解説の一部です。
「法律間の齟齬」を含む「年齢主義と課程主義」の記事については、「年齢主義と課程主義」の概要を参照ください。
- 法律間の齟齬のページへのリンク