民法で定める不動産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 20:42 UTC 版)
土地及びその定着物をいう(民法86条1項)。不動産以外の物は、全て動産(どうさん)である(同条2項)。 不動産は、その全てが替えの効かない特定物であり、また移動が容易でなく、かつ、財産としても高価であるため、動産とは別個の規制に服する(民法177条など)。 先述のとおり、日本の民法においては土地上の建物は土地と別個の不動産として扱われる(民法370条)。このため、土地を売買契約によって譲り受けても、買主は土地の上にある建物の所有権を当然には取得できないし、土地に抵当権を設定しても抵当権者は建物に対する抵当権を当然には取得しない。民法は不動産に公示の原則の考え方を採っており、所有権を取得しても登記が無ければ第三者に対し、所有権を対抗できないとしている(民法177条)。 登記法では、建物であるためには、屋根や壁で遮断されていて、建物としての用途に供しうること、土地に定着していることが求められる。そのため建築中の建物は、屋根や壁が作られた段階で、動産である建築資材から不動産である建物へと法的な扱いが変わる。但し、自動車等で牽引する移動式の建物(キャンピングトレーラーの類)は、不動産ではなく動産に含まれる。この扱いについてはトレーラーハウスも参照。 ふすまや障子、畳などは動産であり、建物とは別個の財産である。しかし、これらの動産は不動産に付属する従物として、建物とは別に扱うとする特約がない限り、建物所有権の移転、建物に対する抵当権の設定などの効果を受ける。他方、立木は土地の定着物であるため不動産であるが、後述する特別法によって独立の不動産として取り扱われる場合を除き、定着物たる土地に吸収される。
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