民法における「人の始期」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/01 14:55 UTC 版)
「人の始期」の記事における「民法における「人の始期」」の解説
民法では、相続に関して、人の始期が問題となる。日本の現行民法には以下の規定が置かれており、人の始期をどこととらえるかによってその後に述べるような違いが生じる。 参考条文 民法第886条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。 2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。 典型的には「子供がいない夫婦の妻が妊娠中に、夫が死亡した場合、夫の財産をどう相続するか」といった事例が挙げられる。 子供が生きて生まれた場合には、「妻が1/2、子供が1/2」を相続する。子供が生きて生まれた上でそのあと死んだ場合には、先立って妻子が相続し、さらに子供の財産を子供の母(相続すべき財産を残した夫からみれば妻)が相続するため、結果として夫の全財産は妻が相続することになる。しかし、子供が死産であった場合には、夫から子供への相続は発生しないため、夫の直系尊属(親)は1/3、妻は2/3となる。妻の立場からすれば「すべてを相続できるか、1/3を親に持っていかれるか」、親の立場とすれば「全く相続できないか、1/3を相続できるか」という違いが生じる。 民法分野では、原則として「子供が母体から分離した段階で生きていた」ならばそれは生きて生まれたものと考えるべきであるとする「全部露出説」が通説となっている。 また民法では、損害賠償請求権について、「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす」(民法721条)とされており、平成18年3月28日、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)において「無保険車傷害条項」においても適用されるという判決が出た。
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