比較校合に採用された写本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 05:15 UTC 版)
「源氏物語大成」の記事における「比較校合に採用された写本」の解説
池田亀鑑は、約300点、冊数にして約15,000冊の写本を調査し、写本を撮影したフィルムは約50万枚に及ぶとされている。その中で『源氏物語大成』では青表紙本25本・河内本20本・別本16本の写本を校合対象としている。一つの写本でも巻によって校合の対象にしたりしなかったりすることがあるが、その基準は明らかではない。また、「原稿作製ノ都合上」昭和13年以後に発見された写本は採用されていない。但し『校異源氏物語』の段階では比較校合に採用されなかった写本のうち、明融本(明融臨模本)のみは特にその重要性から『源氏物語大成』校異編においてはその異同を巻末に補記している。 なお、校異編の凡例によれば、比較校合に採用した写本の基準は、おおむね 青表紙本系統の写本については吉野時代ころまでの書写であるもの。 河内本系統の写本については鎌倉時代ころまでの書写であるもの。 別本の写本については室町時代ころまでの書写であるもの。 としている。但し「研究編」や『源氏物語事典』の記述を見ると江戸時代の写本についても詳細に調査しているものがあるため、写本の調査自体はこれより広い範囲の写本に対して行われたと見られる。 底本に対する異文の表記は大きく青表紙本、河内本、別本のそれぞれについて分けて記されている。これは、異なる系統の本文を安易に比較校合の対象とするべきではないとする池田亀鑑の考えを反映したものであると見られる。
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