死後の報告書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 09:04 UTC 版)
グリッケンは晩年、それまでに短い記事で出版していた文書をまとめて博士論文として出版することを考えていた。すでに火山斜面の岩屑なだれの分類定義を終えており、その主題に関して幾つかの論文を書いている最中だった。スワンソンはグリッケンをこの分野で最先端の専門家と位置づけた。 1980年のセント・ヘレンズ山の噴火後、裂け目に関する研究は、著名な火山で特定された岩屑を研究することで成熟していった。グリッケンが手掛けたセント・ヘレンズ山の火砕流に関する研究は、今日までその分野でほとんど完成されたものであると考えられている。その報告書は、アメリカ地質調査所時代の知人だったキャロル・オステングレン、ジョン・コスタ、ダン・ズリシン、ジョン・メイジャーによって、1つの報告書として1996年に出版された。メイジャーはグリッケンの論文の序文で「セント・ヘレンズ山の堆積物がこれほど詳細に地図化されることは二度とないだろう」と記した。 グリッケンの報告書は「ワシントン州セント・ヘレンズ山の1980年5月18日の岩盤すべり屑なだれ」と題されている。長年にわたるグリッケンの研究と実地調査で構成されたこの報告書は、噴火の写真や、噴火前のセント・ヘレンズ山に関する記述が見られ、ボイトの論文などそれ以前の出版物にも言及があった。この報告書で、グリッケンは縮尺24,000分の1の地滑り堆積物の地図を作っており、さらに縮尺12,000分の1で、岩石の種類を記述する岩石学の地図を加えていた。また各地の滑りの写真や推計速度のデータなどを用いて、滑った塊のそれぞれの動きについて結論を出し、それぞれの構成を詳述した上で塊の間の相互作用を整理していた。
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