歴史と関連手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 05:40 UTC 版)
「フラグメント分子軌道法」の記事における「歴史と関連手法」の解説
FMO法は北浦らのグループにより、1999年に提唱・開発された。FMO法は北浦と諸熊により1976年に開発されたエネルギー分解解析(EDA)と深い関係がある。FMO法の主な用途は超巨大分子系の計算である。系をフラグメントに分割し、系全体から感じるクーロン場の影響を含め、フラグメントおよびフラグメントペアの電子状態計算を行う。これにより、キャップ原子を用いずにフラグメントの電子状態計算が可能となる。 MCF(Mutually Consistent Field)法は埋め込みポテンシャルのもとでフラグメントについて自己無撞着な計算を行うものである。この考え方は、後に改良が加えられ、FMO法を含む様々な手法で用いられるようになった。更に、FMO法に関連する手法として、1992年にはH. StollによりIncremental Correlation法が提案されていた。 また、J. Gao (1997)の提案手法とも、いくつかの類似点がみられる。後にX-Pol(eXplicit Polarization)理論と改名されるGaoの手法は、1998年に液体の水について統計力学的モンテカルロシミュレーションを行うことで、凝縮系における応用可能性を示した。 Incremental Correlation法は形式的にはFMO法と同様の性質を持つ多体展開を用いているが、項の厳密な意味が異なっている。また、X-Pol法とFMO法では、フラグメントペアの相互作用を推算する近似手法が異なる。X-Polは静電相互作用についてはFMO(FMO1)法で用いられる一体展開に類似しているが、他の相互作用については異なる取り扱いをする。 FMO法が提案された後にも、類似手法が幾つか提案されている。その中には、L. Huangによるカーネルエネルギー法や、E. Dahlke、S. Hirata、M. Kamiya によるelectrostatically embedded many-body expansion、といった手法が含まれる。 また、有効フラグメント分子軌道(EFMO)法は、有効フラグメントポテンシャル(EFP)およびFMO法の各々の特徴を組み合わせた手法である。
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