機体に対する評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/01 22:06 UTC 版)
「A-36 (航空機)」の記事における「機体に対する評価」の解説
実戦においてA-36Aは優秀な機体であった。ダイブブレーキを展開すれば高度約4,000mから垂直降下が可能で、急降下速度は最大でも630km/h程度で安定した。目標や弾幕にもよるが、爆弾は高度約650mから1,300mで投下し、その後は急速に上昇させるのが一般的な戦法であった。A-36は急降下爆撃機としては成功を収め、爆撃精度、強靭さ、静粛性といった点での評価は高い。 ダイブブレーキのおかげで非常に安定した降下が可能となっていたが、その一方でダイブブレーキに纏わるいくつかの不穏な逸話が存在している。まず運用開始直後には、油圧の変動のためにダイブブレーキが全て均一に展開せず、それが降下中に若干のロールを生じさせ、狙いを妨げるという問題が発覚した。これにはすぐに技術的改善が施され、精度の高い爆撃を行えるようになったとされる。しかし、ダイブブレーキに欠陥ありという噂は止むことがなかったようである。 ダイブブレーキとの因果は不明だが、一時期、A-36Aを使用した訓練の時間当たりの事故率が他のUSAAF機を使用したものに比べて最も高くなるという事態が起こっている。さらに720km/hの急降下中にパイロットが引き起こしを行おうとした際、両主翼が千切れるという致命的な事故も発生していた。その後、A-36Aを運用する部隊はダイブブレーキを使用した急降下爆撃を行うことは禁止され、降下角がせいぜい70度程度の”滑空爆撃”を行うように通達されている。この命令はベテランパイロットには無視されがちであったが、いくつかの部隊では油圧モーターの改善が行われるまでワイヤーでダイブブレーキを縛り付けていたとされる。一方これに対し、第27部隊の第522スコードロンに所属していたチャールズ・ディルズ元大尉は「私は43年11月から44年3月まで94回の任務中A-36を39回飛ばしたが、イタリアでの戦闘中にダイブブレーキがワイヤーで止められていたことなどなかった。この噂はルイジアナ州バトンルージのハーディング飛行場で訓練を行っていた部隊から流れたものに違いない」と戦後のインタビューで力説している。
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