模型航空機の横安定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 15:56 UTC 版)
「模型航空機の安定」の記事における「模型航空機の横安定」の解説
主翼の上反角による、傾きの修正効果と、スパイラル・ダイブとダッチ・ロールの挙動については「飛行機の安定」を参照 FF模型機の上反角は10~15度に及び、一般に高翼(胴体の上に翼が付く)である。実機の上反角は、その半分以下で、一般に低翼(胴体の下に翼が付く)である。高翼の場合、翼に対して重心位置が低く、横滑りのときに翼の下側の気流がせき止められるので、上反角の効きが良い。低翼はその逆になるので、上反角の効き方の差は角度の違いよりもさらに大きい。 定常飛行をしているときに片側に傾き、あるいは方向が偏れた場合の、自動的な回復は横安定の効果である。この「定常飛行」は、実機においては直線水平飛行であるが、フリーフライト模型機の場合は旋回上昇飛行または旋回降下(滑空)飛行であり、実機よりも複雑な釣り合い状態にある。フリーフライト模型機が旋回飛行を常態とする理由は、一定の広さの場所から飛び出さないで長時間の飛行を行なうためである。滞空時間が短かった草創期においては、実機と同じ直線飛行であったが、1940年代を境として旋回飛行への転換が行なわれた。より複雑なつりあい状態となったため、これを自律安定させるために多くの試行錯誤が行なわれ、F.ザイクは「旋回気流理論」という長文の論文(参考文献に提示)を発表している。 FF模型機の横安定の目的は、スパイラル・ダイブ(螺旋不安定)、あるいはダッチ・ロールのような不安定状態に陥らないようにすることである。両不安定状態は対極にあり、上反角の大きさと、垂直尾翼面積の相対関係が不適当であるときにいずれかに陥る。上反角と垂直尾翼面積の両効果を別々に考えると、ロール・ヨーに関して安に働くが、両効果は同時に生じ、その量的なバランスが適当でないと、上記のトラブルを生ずる。上反角過小の場合はスパイラル・ダイブ、垂直尾翼過小の場合、ダッチ・ロールを生ずる。
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