旋回気流理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 15:56 UTC 版)
旋回飛行を行っている場合、旋回内側の主翼の軌跡は、外側よりも旋回半径が小さく、従って速度も遅い。だから、そのままでは旋回内側の揚力が不足するわけで、実機の場合は内側のエルロンを下げて釣り合いを取る。つまり、旋回に入れるときこそ内側のエルロンを上げて旋回側にバンクさせるが、一旦旋回に入ったならば、上記のように逆に当てて内側へのバンクが増えないように維持する。 FF模型機の場合は操縦が出来ないので、僅かの内すべりと大きな上反角によって、旋回内側主翼の迎え角を増やして、それ以上傾かないように保持する。FF模型機では常時、旋回の中心に向かう横滑りをしながら「定常旋回」を行なわざるを得ない。 旋回飛行の場合、機体の進路は円周になり、主翼・尾翼に当たる相対的な気流の向きも円周になる。その結果、バンクした水平尾翼には下側から気流が当たり、直線飛行のときと比べて迎え角が増え、下げ舵を切った場合と同様になる。旋回によって尾翼の迎え角が増える量は、旋回半径あるいは飛行円周に比べて機体の後モーメント長が大きいほど、また急旋回のためにバンク角が大きいほど、大きくなる。 直線飛行で、適切な釣り合いの重心位置・取り付け角差(主翼の取り付け角と水平尾翼の取り付け角の差)である機体を、そのまま旋回させたとする。この場合、旋回気流による水平尾翼の迎え角の増加が生じ、実質的な取り付け角差の減少が起こる。従って適当な釣り合いより機首を下げ、沈下は理想状態よりも増加する。 実機の場合は、旋回飛行を継続する場合、操縦桿を中立位置より引いて上げ舵をとり、機首の保持を図る。急旋回の場合は大きな上げ舵をとる。 FF模型機の場合は、水平尾翼の取り付け角を減らして同様な効果を生じさせるが、このように調整された機体に直線飛行をさせると、上げ舵を取った状態となり、ピッチング(波状飛行)を行なう。
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