旋回特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 10:08 UTC 版)
単車のオートバイは車体、すなわち車軸を傾けることでジャイロ効果によるヨーモーメントも利用できるが、サイドカーは四輪自動車と同様に前輪の舵角で発生するヨーモーメントだけで旋回する。しかし四輪自動車とは異なり、前述のように加減速でもヨーモーメントが発生するため旋回中に加減速を行うと旋回特性に大きな影響を受けやすい。こうした加減速によるモーメントを積極的に利用して、タイミング次第でスピンターンのような転回も可能である。 また、一般的な四輪自動車よりも輪距(トレッド)に対する重心高が高いため、遠心力を受けて内側の車輪が浮く場合もある。側車側に旋回する場合は比較的簡単に側車が浮き上がり、回復不能な場合は転覆事故につながる。本車側に旋回する場合は比較的安定しているが、本車の後輪が浮けば操縦不能になり、極端な場合は前転事故につながる。こうした特性に対処するために、本車の乗員が自身の重心をカーブの内側の低い位置に移動させる姿勢をとる姿を見ることができる。サイドカーレースでは側車の乗員も車上で大きく姿勢を変えながら旋回する姿が見られる。あるいは、あらかじめ側車に砂袋やコンクリートブロックなどの死重を積んで対処する方法も見られる。 側車輪も駆動する二輪駆動のものは加減速による旋回特性への影響も小さくなるが、パートタイム方式のものはディファレンシャルギアが装備されていないので、二輪駆動での走行中は旋回時に駆動輪の内輪差により駆動抵抗が発生する。摩擦係数の高い路面ではタイヤを磨耗を早めたり、駆動軸の継手や軸受が痛みやすくなる。
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