格子欠陥の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 08:33 UTC 版)
格子欠陥は点欠陥、線欠陥および面欠陥の3種に大別される。 点欠陥 空間的な繰り返しパターンを含まない格子欠陥である。点欠陥はそれぞれ熱平衡濃度を持っており、点欠陥を全く含まない結晶は存在しない。点欠陥には例えば次のようなものがある。異種原子 結晶を構成する原子の一部が置き換わった異種の原子である。 格子間原子 結晶内部の、もともと原子が占めていない隙間に侵入した原子である。エネルギが大きいため平衡濃度は比較的小さい。 原子空孔(空格子) 結晶を構成する原子の一部が存在しないことである。融点近くでの金属中の原子空孔の平衡濃度は10-4のオーダーである。原子拡散では原子空孔が重要となる。ショットキー欠陥などがある。 フレンケル欠陥 アンチサイト欠陥 電気的欠陥 電荷の過不足である。例えば次のようなものがある。伝導電子 特定の原子から離れて結晶内部を移動する電子である。 正孔 特定の原子から離れて結晶内部を移動する電子の不足状態である。 荷電要素 結晶を構成する要素が電子を放出したり捕らえたりして電荷を帯びたものである。例えば多くの格子空孔は荷電要素として存在する。 線欠陥 例えば転位など。塑性変形を加えると大量に線欠陥が導入される。点欠陥が一次元的に連続して配置すればこれも線状の欠陥ではあるが、このようなものは本質的には点欠陥であり区別される。 面欠陥 点欠陥が二次元的に連続して配置したものである。例えば積層欠陥、双晶面、結晶粒界、結晶表面など。 その他、点欠陥が三次元的に連続して配置した空隙をバルク欠陥(体積欠陥、ボイド)と呼ぶこともあるが、これは結晶内部にあるとは言えないため格子欠陥とは区別される。 点欠陥は一般的にクレーガー=ビンクの表記法で表される。
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