核兵器の使用と国際人道法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 03:49 UTC 版)
「国際人道法」の記事における「核兵器の使用と国際人道法」の解説
1996年「核兵器の威嚇または使用の合法性」国際司法裁判所勧告的意見で、裁判所は、国際人道法の核となる原則が、第一に文民の保護、第二に戦闘員に不必要な苦痛を与えないこと、にあることを確認した。しかし一方、ある国々が、自衛権の行使として低エネルギー放射の戦略的核の使用は文民の被害を比較的出さないから必ずしも禁止されないと主張し、また他方、ある国々が、核兵器への訴えはあらゆる状況下で決して国際人道法の諸原則、諸規則に合致しないと主張したことについて、いかなる国も、そのような「きれいな」使用を正当化する正確な諸状況が何なのか、また逆に、その限られた使用が高エネルギー放射の核兵器の使用にエスカレートするのかどうか、示さなかったとする。そして、それゆえ、各国家が生存する根本的権利とその自衛への訴え、及び、核抑止力の政策に言及する実践に鑑みると、そのような国家の存亡をかけた自衛の究極の状況では、裁判所は核兵器の使用の合法性、違法性について決定的な結論に至れなかったと述べた(I.C.J.Reports 1996 (I), pp.257-263.)。 裁判所は、同勧告的意見の最後に、核拡散防止条約6条の下の、厳格で実効的な国際管理の下の核軍縮への誠実かつ完結をもたらす話し合いをする義務が、今日の国際共同体全体にとって死活的に重要な目標であり続けているのは疑いない、と念を押している(Ibid., pp.265, 267.)。 人道法の諸目的は、その発展のみならず、軍縮の実現なくしては達しえないものだといえる。
※この「核兵器の使用と国際人道法」の解説は、「国際人道法」の解説の一部です。
「核兵器の使用と国際人道法」を含む「国際人道法」の記事については、「国際人道法」の概要を参照ください。
- 核兵器の使用と国際人道法のページへのリンク