柱の原型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 22:10 UTC 版)
「ロゼッタ・ストーン」の記事における「柱の原型」の解説
ロゼッタ・ストーンはより大きな石柱の断片の一つだが、後にロゼッタでおこなわれた調査では残りの部分は見つかっていない。損傷しているため、3つの文章のうち完璧な状態で残っているものはない。上部に記されているエジプトのヒエログリフで書かれた文章が最も欠落が激しく、わずかに最後の14行のみが読み取れる。右側の文章は全て失われており、左辺に12行が残っている。続くデモティックの文章は最も良い状態で保たれており、32行あるうち、右辺にある最初の14行がわずかに欠けている。最後に記されたギリシア語の文章は54行あり、最初の27行は全文が残っている。残る箇所はロゼッタ・ストーンの右隅が斜めに割れているせいで行が進むごとに断片的になっている。 ロゼッタ・ストーンが破断される前のヒエログリフで書かれた文章の全長と本来の石柱全体の大きさは、同じ寸法でつくられた現存する石柱をもとに推計が可能である。わずかに時代が遡るプトレマイオス3世の在位中である紀元前238年に出されたカノプス勅令の碑文は高さが219cm、幅が82cmであり、ヒエログリフで36行、デモティックで73行、ギリシア語で74行の文章からなっている。これはロゼッタ・ストーンと同程度の長さである。こういった比較によって、ヒエログリフの碑文が14-15行、長さにして30cmがロゼッタ・ストーンの上部から失われているのではないかという推測が成り立つ。またカノプスの石柱のように、碑文だけではなく有翼の円盤を冠した神々に迎える王の姿がおそらく描かれていたという事が言える。こういった相関やロゼッタ・ストーンそのものに記された「柱」を意味するヒエログリフの記号(ガーディナーの記号表でいうO26 )は、もともと丸い頂部があったことを示唆している。そしてもともとの柱の高さはおよそ149cmだったと推計されている。
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