東西間での周波数変換による相互融通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:57 UTC 版)
「商用電源周波数」の記事における「東西間での周波数変換による相互融通」の解説
沖縄電力を除く各電力会社間では電気の相互融通を行っているが、異なる周波数の電力会社間での相互融通のために、50Hzと60Hzの周波数変換を行う周波数変換所が設けられている。電力会社間の相互融通のための周波数変換所としては電源開発送変電ネットワークの佐久間周波数変換所、東京電力パワーグリッドの新信濃変電所、中部電力パワーグリッドの東清水変電所と飛騨変換所の4箇所がある。融通可能な電力は佐久間変換所は最高30万kW、新信濃変電所60万kW、東清水変電所30万kW(東側が154kV、西側が275kVで連系)、飛騨変換所90万kW。2022年4月現在の日本で50Hz・60Hz間で周波数変換ができる変電所は上記4変電所で、両周波数間で融通できる最大電力は210万kWとなっている。 この状況は電力業界で認識されていたものの、発電所を建設するに比べ多額の投資を要する(30万kW周波数変換所の建設には、約700億円と10年程度が必要とされる)事が問題とされている。しかし、周波数を1つに統一していくべきで、これは数十年以上前から専門家の間で指摘されていた日本の電力業界全般における根本的な問題だとする世論がある。 2011年(平成23年)の福島第一原子力発電所事故に次いで、日本の原子力発電所における原子炉の危険性があるとの指摘がなされたため、原子力発電所の発電が相次いで停止に追い込まれた。これによって日本各地で電力不足に陥り、東京電力が発電所の被災により輪番停電(計画停電)を実施した事から、様々な悪影響も発生した。北海道電力、中部電力、関西電力、四国電力、九州電力も、電力不足を理由にした節電呼びかけや警告を行った。この電力不足の原因を、東西で電源周波数が異なる事による融通可能な電力量の少なさとする意見がある。 こうした中、2013年2月に東清水変電所が30万kWの本格運用を開始し、東西間で融通できる電力は120万kWとなった。更に2021年3月、飛騨信濃周波数変換設備(変換容量90万kW)が運用開始し、融通できる電力は210万kWに増加した。
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