東北日本の隆起と東北地方の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:07 UTC 版)
「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の記事における「東北日本の隆起と東北地方の形成」の解説
約2000万年以前、現在の東北地方を始め、日本列島はアジア大陸の辺縁に存在していたと考えられる。当時の日本列島の東では現在の日本海溝に太平洋プレートが沈み込んでおり、現在の南アメリカ大陸西岸のチリ周辺と似た環境であったと見られている。しかし約2000万年前頃から、東アジアの大陸地殻に地溝ができ始めた。地溝は拡大を続け、やがて海となり現在の日本海が形成されていった。日本海の拡大に伴って東北日本は反時計回りに回転しながらアジア大陸から分離して、約1500万年前までに約25度回転しながら南下し、ほぼ現在の位置に至った。 日本海の形成に伴い、日本列島は大陸から切り離されて現在の日本列島の祖形が誕生したが、日本海の形成に伴い、地殻が引き伸ばされたことが原因で広域な地盤沈下が発生した。約1500万年前、日本列島の広い範囲は海面下にあり、特に東北日本の大部分は水没していた。その後も東北日本には東西に引っ張られる力がかかっていたと考えられ、水没した状態が継続した。この時点で東北地方にかかる主な力は、北米プレート系の千島弧が北東方向から、そしてフィリピン海プレート系の伊豆小笠原弧が東北地方を含む東日本を南側から押す力であった。 約300万年前になって、日本列島のテクトニクスに大きな変化が起こった。東北日本ではこれまで東西に引っ張られる力が働いていたが、圧縮する力がかかるようになった。東北日本は東西から圧縮されるようになったため、水没した状態から一転して陸化が進み、現在の東北地方が形成されていった。この東北地方の東西方向からの圧縮とそれに伴う隆起は現在に至るまで継続していると考えられる。 これまで東西に引っ張られる力が働いていた東北日本が、なぜ約300万年前から圧縮する力がかかり隆起をするようになったのかについては、日本海溝に沈み込む太平洋プレートは、東北地方の新第三紀の火山噴出物の分析から、約1500万年前の東北日本の形成以後現在まで一貫して沈み込みを続けていたものと考えられている。そのため、アムールプレートの東進に伴う日本海東縁変動帯の形成が、東北日本にかかる力の大きな変化の主因と見なす説が有力視されている。なお、東西圧縮が優勢になったとはいえ、北米プレート系の千島弧やフィリピン海プレート系の伊豆小笠原弧が東北地方に作用する力が消滅したわけではなく、特に千島弧の動きは東北地方太平洋沖地震のメカニズムや地震後の余震に大きな影響を与えていると考えられる。
※この「東北日本の隆起と東北地方の形成」の解説は、「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の解説の一部です。
「東北日本の隆起と東北地方の形成」を含む「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の記事については、「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の概要を参照ください。
- 東北日本の隆起と東北地方の形成のページへのリンク