東倉里発射場の利点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 15:00 UTC 版)
東倉里発射場は舞水端里発射場と比較すると以下のような地理的、軍事的、政治的利点が存在するといわれている。 東倉里発射場は寧辺核施設から約70キロ、平壌近隣のミサイル製造工場から約200キロしか離れていないため、核弾頭と長距離ミサイルの運搬や装着にかかる時間を大いに短縮できる。平壌の山陰洞兵器工場で製造した長距離ミサイルを、軍用列車に載せて舞水端里発射場に運ぶのに4、5日かかり、アメリカの軍事衛星による監視網を逃れることはできない。しかし東倉里発射場には1日でミサイルを輸送することが可能である。さらに核弾頭をミサイルに装着するために、寧辺の核技術者が発射場入りすることも、東倉里発射場のほうが容易である。ちなみに、核実験は咸鏡北道吉州郡の豊渓里にある地下施設で行われている。 北朝鮮と中国の国境である鴨緑江河口から直線距離で約70キロ離れた所にあるため、米韓が東倉里発射場に対し攻撃や空中爆撃をする場合、航空戦力も中国の防空識別圏に接近しなければならず、中国の国益を侵害する懸念がある。 舞水端里発射場は水深が深い日本海海岸の広い平地に建設されており、潜水艦など海上戦力による外部攻撃に脆弱であると言われてきた。一方、東倉里発射場は水深が浅い西海地域に建設され、海上戦力の接近も容易でないとされる。 舞水端里発射場からミサイルを発射すれば、離陸初期の高度が低く、日本海で待機する日米のイージス艦によるSM-3ミサイルに迎撃される可能性が高い。しかし東倉里発射場から発射すれば、北朝鮮上空を通過する間に高度が上がり、迎撃のリスクが減少する。 北朝鮮には海上でのミサイルの観測能力に限界があるので、内陸地域を通過する東倉里発射場のほうがICBMの追跡能力を確保するためには利用しやすい。
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