東健号(東建愛国号)問題
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「ラングーン事件」の記事における「東健号(東建愛国号)問題」の解説
北朝鮮軍特殊工作員兵士3名をビルマに送り込んだ「東健号」は、朝鮮総連に所属する兵庫県商工会会長の文東建が、日本の高知県で造船し、昭和51年(1976年)に北朝鮮に寄贈し、金日成から直接に「東建愛国号」と名付けられた貨物船である。翌、昭和52年(1977年)からは宇出津(うしつ)事件や少女拉致事案のような北朝鮮政府と関係者による日本人拉致事件が始まった。 この寄贈により、文東建は北朝鮮最高勲章の一つである金日成勲章を受章し、後に全演植と共に、在日朝鮮商工人から初の朝鮮総連副議長となった。当時、朝鮮総連議長ですら成し得なかった、金日成と文東建のツーショット写真が北朝鮮の日本語宣伝雑誌『今日の朝鮮』1976年8月号に掲載され、在日朝鮮人社会に大きな衝撃を与えると共に、それが「金銭の力で地位を買える」という事実を知らしめる結果となって、合法非合法を問わず、日本国内から北朝鮮の軍事独裁体制を支えていた、在日朝鮮人による北朝鮮への送金の始まりとなった。 ラングーン事件が起きた後に『週刊朝日』1983年11月4日号が、「犯人の兵士をビルマに運んだ船が文東建の寄贈船である」と報じると、文東建は「そんな事実は無い」と否定し、週刊朝日を名誉毀損で神戸地方裁判所に訴えたが、裁判開始直後に文は死亡し、その後文の関係者は裁判を放り出したために、結局うやむやになった。
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