杯事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 09:38 UTC 版)
盃を用いて酒を酌み交わす杯事(さかずきごと)は、血縁の無い人間関係を確認し、強固にするためにも行われる。このため、盃を「絆」の意味で用いることもある。上下関係や席次を前提とする結縁の杯事では、上位者が先に口にした盃を、下位者が頂いて口にする慣わしがある。その後、飲み干した盃を下位者がそのまま拝領し懐に入れる作法もある。 神道の結婚式では、夫婦となる男女が神前で3種の盃を用いて酒を飲む三々九度と、列席した親族が共に盃で酒を飲む親族固めの杯の儀式が行われる。これにより、新たに作られる夫婦とその夫婦を取り巻く親戚関係が作られ、その結束を確認する意味を持つ。 また、日本の暴力団では、兄弟や親子など家族を模した関係が形成され、これを確認するために行われる杯事が重視される。正式に傘下に入ることを「盃を貰う」、傘下から離脱することを「盃を返す」などと言い慣わす。 さらに、後に死に別れて会うことが出来ないことが予測される場面などでは、酒ではなく水を酌み交わす水杯(みずさかずき)が行われることもある。近代においても第二次世界大戦中、特別攻撃隊の出撃前には水杯が酌み交わされた部隊もある。水が用いられた例としては他に、多人数で誓約を行う際に、各人が署名した起請文を神前で燃やし、その灰を盃に入れた「神水」に溶いて飲む一味神水がある。中世から近世にかけて一揆の結成に際してしばしば行われた。
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