本能行動と学習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:33 UTC 版)
行動が、生得的なものであるのか、後天的なものであるのかで分け、それぞれにそれを支えるしくみを解明する。生得的なものであれば、それに影響を与える遺伝子が存在し、神経系や筋肉系など、作りつけの装置の構造に基づくはずである。生まれつき、生活史の特定の段階で、特定の組み合わせで複雑な行動を行い、目的を達するようになっている場合、そのような行動を本能行動と呼ぶ。昆虫などでよく発達したものが見られる。 後天的にできるようになる行動を、まとめて学習と呼ぶ。実際のその内容は様々である。よく動物実験で行われるものに、簡単な迷路を使って、目的地にたどり着く道筋を覚えさせる、というのがある。脊椎動物であれば、何度かの失敗の後、目的地にたどり着けば、それを繰り返すうちに、次第に失敗の数が減り、やがて一気に目的地にたどり着けるようになる。つまり道筋を学習したわけである。これは学習の典型的なものの一つで、試行錯誤学習などとも言われる。 コンラート・ローレンツが発見した刷り込みは、当初は本能行動に分類されていた。しかし親を追従する行動は本能的ではあっても、どの物体を親と認識するかは学習による。発達生物学者と初期の動物行動学者の間で行われた議論は「生得性」の意義を問い直した。学習と学習の生得的基盤の相互作用の解明も動物行動学の範囲で行われる。さらに経験やそれに基づいての推察、予測などの判断で行動したと見られる場合、これを知能による行動と見るが、判断は難しい。
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