本位貨幣に対する定位貨幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 07:23 UTC 版)
「定位貨幣」の記事における「本位貨幣に対する定位貨幣」の解説
1844年銘の1クラウン定位銀貨 1870年銘の5フラン定位銀貨 1858年銘の1/2ドル定位銀貨 1871年の新貨条例では本位金貨の他に「定位ノ銀貨幣」および「定位ノ銅貨」が定められ、「定位トハ本位貨幣ノ補助ニシテ制度ニヨリテ其価位ヲ定メテ融通ヲ資クルモノナリ故ニ通用ノ際コレカ制限ヲ設ケテ交通ノ定規トス」と規定された。この「定位」は1875年に「貨幣条例」と改められて公布された際「補助ノ銀貨」および「補助ノ銅貨」に改められた。 イギリスの銀貨は1816年以降、従前より軽量化され自由鋳造も廃止されたため本位貨幣でなくなったが、1クラウン(5シリング)銀貨は少額の貨幣補助単位としての額面ではなく定位貨幣として位置付けられる。さらに、第一次世界大戦に伴う銀の騰貴から1920年には銀品位を925/1000のスターリングシルバーから500/1000と大幅に低下させるに至った。 フランスでは、銀相場の金に対する相対的上昇によりイギリスに対し金銀比価が金高となったため少額銀貨の国外流出が発生し、1864年に2フラン以下の銀貨は、国外流出・鋳潰しを防ぐため品位が900/1000から835/1000に引き下げられ法貨として通用制限額が設けられた。5フラン銀貨は品位は従来通り据え置かれ法貨として無制限通用であったものの、1876年から銀貨の自由鋳造が停止され、5フランという高額貨幣ゆえ定位貨幣となった。 アメリカでもゴールドラッシュにより金価格に対し銀価格が相対的に上昇した際、銀貨に国外流出および鋳潰しの懸念が生じたため、1/2以下の少額銀貨は量目が減量され法定通貨としての通用制限額が設定されたため本位貨幣でなくなったが、この時点では補助貨幣と規定されたわけではなく定位貨幣の位置付けとなる。また1878年以降に発行された1ドル銀貨も自由鋳造も廃止されたため本位貨幣ではないが1/2ドル以下の銀貨とは異なり法貨としては無制限通用となり、少額の貨幣補助単位としての額面ではなく定位貨幣と位置付けられた。
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