朝鮮王朝実録の寄贈(返還)
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「朝鮮半島から流出した文化財の返還問題」の記事における「朝鮮王朝実録の寄贈(返還)」の解説
2006年7月14日、東京大学は『朝鮮王朝実録』をソウル大学奎章閣に引渡した。李氏朝鮮の歴史書『朝鮮王朝実録』五台山史庫本は1913年に朝鮮総督府から東京帝国大学に寄贈、多くは関東大震災で焼失したが残った74冊のうち27冊は1932年に京城帝国大学に移され、47冊は東京帝国大学に残された。東京大学はマイクロフィルムに記録した上で、原本をソウル大学に「寄贈」したが、韓国側では「返還・還収」と呼んでいる。 ソウル大朝鮮王朝実録還収委員会の李泰秀ソウル大学院長は「略奪に対し過ちだったという謝罪文を受け取ってから返還をしてもらうべきだった」が妥協したと述べた。また国民大学校教授の柳美那は、東京大学が流出経路は不明で、寄贈は学術交流のためと述べたことに対して、これは「(朝鮮王朝)実録以外の韓国関係文化財はいっさい返還する意思がない」宣言であると解釈した。また朝日新聞も「なぜ解明できぬ来歴」として過去の清算が問われていると主張した。中央日報は社説で朝鮮王朝実録「返還」について「今の韓日関係が日本の右翼政治家たちの妄言から始まっているだけに、まだ日本に良心的勢力が健在しているという証でもある」と評価し、また韓国政府には「略奪文化財の返還を通じ本当の歴史をとらえることに努めてほしい」と要求した。 このような北関大捷碑や朝鮮王朝実録の引渡しによって、韓国ではそれら以外の日本が保有する「略奪文化財」の返還運動が活発になっていった。 韓国の返還運動に呼応する日本国の国会議員も現れ、2007年4月6日、第166回国会文部科学委員会第8号では日本共産党の衆議院議員石井郁子は個人が所有する物も含めて朝鮮半島由来の文化財の韓国への返還を目指して調査すべきであると主張した。
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