朝鮮民主主義人民共和国が制定した表記法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 18:15 UTC 版)
「朝鮮語のローマ字表記法」の記事における「朝鮮民主主義人民共和国が制定した表記法」の解説
1955年式 正式名称は「외국 자모에 의한 조선어 표기법(外国字母による朝鮮語表記法)」。1955年にキリル文字による表記法と併せて発表されたもので、その第3章にラテン文字による表記法が掲げられている。 母音において「ŏ」のような補助記号が用いられているのはM-R式と同じであるが、「ㅋ」を「kh」とつづるなど激音の表記に「h」を用いたり、「ㅐ」を「ai」とつづる点などはイェール式に近い。「ㅈ, ㅊ, ㅉ」を「ts, tsh, tss」とつづるのが特徴的であるが、これは平壌方言の音声的特徴を反映していると見ることができる。 その後、北朝鮮では1969年に「영어문자에 의한 조선어표기법(英字による朝鮮語表記法)」が、1985年にはラテン文字への転写法と翻字法が定められている(박재수1999参照)。 1992年式 正式名称は「조선어의 라틴문자표기법(朝鮮語のラテン文字表記法)」。1992年に定められた。北朝鮮における現行のラテン文字表記法である。 母音の表記についてはM-R式と同一である。その一方で子音の表記には、激音の表記に「h」を用いる(ㅊは「ch」)など、1955年式からの伝統を受け継いだ表記法も採られている。平音の表記は従来どおり有声音化の現象に合わせて有声音字と無声音字を使い分けているが(例えば「ㄷ」は「t, d」)、ㅈは無声音で発音される場合でも常に有声音字「j」とつづるのが特異である。その他、ㄹの鼻音化を綴りに反映しない、ㄹが重なった場合に「lr」と綴る、ㅉを「jj」と綴るなどのM-R式との差異点がある。 なお、一部国際的に定着した名称ではM-R式など従来の表記も認められている(例:平壌→Pyongyang)他、補助記号の省略も許容としている。
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