月の裏の観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 01:08 UTC 版)
月は自転と公転が同期し、常に同じ側を向けているため、月の裏の大部分は地球からは見ることができない。ただし、 月の公転軌道が円軌道ではなく離心率0.0549の楕円軌道なので、公転角速度が変動する(公転速度は近地点で速く、遠地点で遅い。このため近地点では自転が相対的に遅れて進行方向の後ろ側が余計に見え、遠地点では逆になる)。 月の公転軸と自転軸が6.7°ずれている(このため月の南北側のうち、地球側に向いている側が少し多く見える)。 観測者が地球の中心からずれていることによる地心視差(北極や南極近くではそれぞれ月の北や南側、月の出始めは西、沈む時は東が多く見える)。 月が完全な回転対称の物体でないことにより、自転速度が変動する(月の地球側が少し膨らんでいるので、最初の公転速度変化で起きる見た目の秤動ではなく、本当にわずかに揺れている)。 これらにより秤動が発生し、表に近い部分は見ることができる。見えるのは全月面の約59%、言い換えれば(表の100%と)裏の18%である。。しかし、角度が水平に近く、期間も限られているため、観測条件は悪い。 1959年、ソビエト連邦の月探査機ルナ3号が初めて観測した。なお、月の裏の目立つ地形は、この計画に関わったソ連の天文学者により命名されたため、ツィオルコフスキー・クレーター(英語版)やモスクワの海などソ連にちなんだものが多く、フォン・カルマン・クレーター(英語版)やフォン・ノイマン・クレーター(英語版)のようなアメリカ合衆国にちなむものは少ない。
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