最大原子核サイズ計算の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/18 01:31 UTC 版)
「ラザフォード散乱」の記事における「最大原子核サイズ計算の詳細」の解説
アルファ粒子と原子核が正面衝突する場合、アルファ粒子の持つ運動エネルギーの全てがポテンシャルエネルギーに変化し粒子が静止する瞬間がある。この瞬間におけるアルファ粒子の中心から原子核の中心までの距離 (b) は、もし粒子同士が衝突した実験的証拠が無いのならば原子核の最大半径を与える。 アルファ粒子と原子核の電荷に逆二乗則を当てはめると、次のように書ける。 1 2 m v 2 = 1 4 π ε 0 ⋅ q 1 q 2 b {\displaystyle {\frac {1}{2}}mv^{2}={\frac {1}{4\pi \varepsilon _{0}}}\cdot {\frac {q_{1}q_{2}}{b}}} 変形すると以下のようになる。 アルファ粒子について、変数の実際の値は次のようになる。 質量 m = 6976664424000000000♠6.64424×10−27 kg = 7009372730000000000♠3.7273×109 eV/c2 電荷 q1 = 2×6981160000000000000♠1.6×10−19 C 金の電荷 q2 = 79×6981160000000000000♠1.6×10−19 C 初速度 v = 7007200000000000000♠2×107 m/s これらを代入すると、およそ 27 fm (2.7×10−14 m) という値を得るが、実際の半径はおよそ 7.3 fm (7.3×10−15 m) である。この実験により真の原子核半径が得られない理由は、アルファ線のエネルギーが 6986270000000000000♠27 fm よりも原子核中心に近づけるだけのエネルギーを持っていないのに対して、真の金原子核半径が 6985730000000000000♠7.3 fm だからである。ラザフォードはこれを認識しており、かつアルファ粒子と金原子核の間に働く力のポテンシャルが 1/r に比例するクーロンポテンシャルからずれれば散乱曲線が大角度(最小衝突径数)において双曲線からなにか別の曲線に変化することも認識していた。このずれは見られなかったため、金原子核とアルファ粒子は「接触」していないことが示され、金原子核半径(もしくは金原子核半径とアルファ粒子半径の和)が 27 fm (2.7×10−14 m) よりも小さいことがわかった。
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