暗号解読の初期の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 19:52 UTC 版)
「マリアン・レイェフスキ」の記事における「暗号解読の初期の方法」の解説
暗号化の手順や暗号機自体が絶え間なく改良されることに対応して、エニグマ暗号の解読方法も多く考案されることになった。最初の方法は表をつくる方法で、とても手のかかる作業であった。この方法は、プラグボードでは6組の文字を交換しているだけで残りの14文字は変化しないという原理に立脚している。次の方法はルジツキの時計の方法という方法で、与えられた日にもっとも右にあるローターがどれなのかをかなり良い確率で決めることができた。 1936年10月1日以降、ドイツはプラグボードで交換する文字の組を増やした。その結果として表を作る方法では手に負えなくなってしまった。しかし、1935年か1936年ごろに考案した特性カードを使用した方法は、プラグボードでの交換の組数に影響を受けなかった。 一連の特性カードは、レイェフスキが作成して「サイクロメータ」と名づけられた機械を利用して作られた。サイクロメータは巡回する順列を数えることができたのである。全ての特性の一覧を作成した後は、正しい順列を読み取ることができ、その順列はある与えられた日のローターの設定に対応させることができたのである。 サイクロメータはエニグマの暗号化ローター2組から出来ている。エニグマが生成する巡回順列の長さと数を決めるために使用された。しかしこの機械をもってしても、完全な特性一覧表を作るのは難しく、時間のかかる課題であった。ローターの17576通りのとり得る組み合わせそれぞれに対し6通りのとりうるローターの並べ方があり、全部で105456通りの場合を調べることが必要であった。最初の特性一覧表を作るのには大変時間がかかる作業で、ほとんど1年を要した。これは1935年末ごろに完成し、その後は12分から20分で日鍵を特定することが可能になった。1937年11月1日ないし2日ごろ、ドイツはエニグマの反転ローターを更新した。これは特性一覧表を最初から作り直さなければならないことを意味した。しかし、1938年1月には、ドイツの暗号解読を担当する暗号局BS4課は、入手済みのエニグマ暗号文章の概ね75%を解読することが出来た。レイェフスキの意見では、人数を少し増やすだけで90%解読することも可能であった。
※この「暗号解読の初期の方法」の解説は、「マリアン・レイェフスキ」の解説の一部です。
「暗号解読の初期の方法」を含む「マリアン・レイェフスキ」の記事については、「マリアン・レイェフスキ」の概要を参照ください。
- 暗号解読の初期の方法のページへのリンク