暖流と寒流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:21 UTC 版)
海水の比熱容量は大気のそれに比べ非常に大きいため、暖流・寒流は沿岸の気候や水産資源に与える影響が大きい。なおこの定義はよく使われるが科学的な厳密さを欠く分類法であり、水温が何度以上が暖流というような定義は存在しない。周辺海域の水温との比較によるものである。 暖流(だんりゅう、warm current)とは、低緯度から高緯度へ向けて流れる海流のことをいう。海流図上では通常赤色の線で表される。多くの場合、周囲の大気を暖めて自身は冷やされる海流である。暖流沿岸では温暖で湿潤な気候が保たれる。これは、暖流が大気を暖めて水蒸気を供給するとともに、上昇気流が発生して雨が降りやすくなるためである。西ヨーロッパは北大西洋海流の影響を受けており、同緯度の東ヨーロッパよりも温暖な気候である。ただし、論文を根拠とした議論によれば、「ヨーロッパが温暖な理由は湾流の影響だ」という説明は不十分である。北アメリカ東岸に比べてヨーロッパが温暖である原因は海流による熱輸送だけでなく大気側の要因も(海の風下であることおよび気圧の谷との位置関係)ある、という意味で“不十分”である。日本周辺には黒潮(日本海流)と対馬海流がある。 寒流(かんりゅう、cold current)は、高緯度から低緯度へ向けて流れる海流のことをいう。海流図上では通常青色の線で表される。周囲の大気を冷やして自身は暖められる海流である。水蒸気を発生させにくい寒流は沿岸を冷涼で乾燥した気候にする傾向がある。寒流の影響で熱帯地域に形成される砂漠が海岸砂漠である。ペルー海流により形成されたチリのアタカマ砂漠はその代表例である。日本周辺にはリマン海流と親潮(千島海流)がある。海水は濁っていて、緑色を帯びている。漁業への影響も大きい。寒流は比較的水温が低いため栄養に富んでおりプランクトンが豊富である。ここに、魚類の多数生息する暖流が流れ込む海域は好漁場となる。(例:ノルウェー海、南アフリカ共和国沖、日本海、三陸沖、タスマン海、アルゼンチン東方沖など)
※この「暖流と寒流」の解説は、「海流」の解説の一部です。
「暖流と寒流」を含む「海流」の記事については、「海流」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から暖流と寒流を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 暖流と寒流のページへのリンク