普遍的な性質と構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 19:43 UTC 版)
「クリフォード代数」の記事における「普遍的な性質と構成」の解説
V を体 K 上のベクトル空間とし、Q: V → K を V 上の二次形式とする。興味のあるたいていのケースでは体 K は実数体 R か複素数体 C か有限体である。 クリフォード代数 Cℓ(V, Q) は次の普遍性によって定義されるすべての v ∈ V に対して i(v)2 = Q(v)1 を満たす線型写像 i: V → Cℓ(V, Q) を伴った K 上の単位的結合多元環である: K 上の任意の結合代数 A と j(v)2 := Q(v)1A (∀v ∈ V) (ただし 1A は A の乗法単位元を表す)なる任意の線型写像 j: V → A が与えられると、次の図式が交換する一意的な多元環準同型(英語版) f: Cℓ(V, Q) → A (すなわち f ∘ i = j)が存在する: (標数≠2 において)Q の代わりに対称双線型形式 ⟨·,·⟩ で考えると、j に対する要求は j ( v ) j ( w ) + j ( w ) j ( v ) = 2 ⟨ v , w ⟩ 1 A ( ∀ v , w ∈ V ) . {\displaystyle j(v)j(w)+j(w)j(v)=2\langle v,w\rangle 1_{A}\quad (\forall v,w\in V).} 上で記述されたようなクリフォード代数はつねに存在し次のように構成できる: V を含む最も一般的な代数、すなわちテンソル代数 T(V) で始め、それから適切な商を取ることによって基本関係式が成り立つようにする。この場合 v ⊗ v − Q ( v ) 1 ( ∀ v ∈ V ) {\displaystyle v\otimes v-Q(v)1\quad (\forall v\in V)} の形のすべての元によって生成された T(V) の両側イデアル IQ を取りたく、Cℓ(V, Q) を商代数 Cℓ(V, Q) := T(V)/IQ として定義する。この商によって継承される環の積はときどきクリフォード積 (Clifford product) と呼ばれ 外積とスカラー積から区別される。 すると Cℓ(V, Q) は V を含み上の普遍性質を満たすことを示すことは直截であり Cℓ は一意的な同型を除いて一意的である; 従って人は "the" Clifford algebra Cℓ(V, Q) について話す。この構成から i が単射であることも従う。通常 i を落とし V を Cℓ(V, Q) の部分線型空間として考える。 クリフォード代数の普遍的な特徴づけは Cℓ(V, Q) の構成が事実上関手的であることを示している。すなわち、Cℓ は二次形式を持ったベクトル空間の圏(射は二次形式を保つ線型写像)から結合代数への関手と考えることができる。普遍性は(二次形式を保つ)ベクトル空間の間の線型写像が結合クリフォード代数の間の代数準同型(英語版)に一意的に拡張することを保証する。
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