普遍的な自己相似性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/25 06:42 UTC 版)
「エフィモフ状態」の記事における「普遍的な自己相似性」の解説
エフィモフ状態の特徴の1つは、エフィモフ状態が無限個の相似な状態を持つ点である。「相似」という言葉から察せられるように、これらの状態は、ある倍率のスケール変換で結びつく。あるエフィモフ状態の長さスケールを λ {\displaystyle \lambda } 倍した状態は、エネルギーが λ − 2 {\displaystyle \lambda ^{-2}} 倍のエフィモフ状態となる。この倍率 λ {\displaystyle \lambda } は、粒子の質量比などのみに依存し、相互作用ポテンシャルの具体形など詳細な情報には依存しない普遍的な値を取る。同種ボソン3粒子の系では、この倍率が約 22.7 という値で与えられる(詳しくは、A242978)。 このような離散的スケール不変性は、くりこみ群的に理解される。具体的には、エフィモフ状態はくりこみ群の流れのリミットサイクルによって特徴付けられる。すなわち、エフィモフ状態を持つ系のくりこみ群変換が周期性を持ち、その周期が約22.7倍というスケール倍率(の対数)と一致するのである。多くの場合、物理の理論はくりこみ群の「固定点」によって特徴付けられると言われるが、くりこみ群フローの分類としてのリミットサイクルは、Wilsonによって強い力の文脈で可能性の1つとして議論されていた。エフィモフ状態は、実際にくりこみ群がリミットサイクルを持ち、実験的にもその徴候が確認されている最初の例と言える。
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