時間依存と時間非依存
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 17:29 UTC 版)
地震の発生に関する確率分布はポアソン分布と仮定して、ポアソン過程により算出する場合が多い。定常的かつランダムに発生している地震(例えば、無数の断層を有する領域内における地震の発生確率)を扱う場合、確率は定常ポアソン過程とグーテンベルグ・リヒターの関係式により表され、時間が経過しても変化しない。一方、発生確率が時とともに変化する地震(例えば、1つの断層や海溝における固有地震の発生確率)を扱う場合は、時間経過を織り込んだ非定常ポアソン過程により表される。前者は時間非依存モデル、後者は時間依存モデルという。 時間依存モデルには、いくつかの手法がある。WGCEPが1995年に発表した評価では、一般的な時間予測モデルに対数正規分布のばらつきを加える手法が用いられた。しかし、このモデルでは、前回の地震からの経過時間があまりに長くなると逆に確率が低下してしまうという問題があった。これを防ぐ手法として、Matthews(1999)はBPT(Brownian Passage Time)分布を用いた評価法を考案した。BPTとは、震源における応力場の擾乱が地震や地殻変動などのブラウン運動により表現できる事に着目して、その擾乱の蓄積により大地震の発生に至るというプロセスをモデル化したものである。地震調査研究推進本部は2001年にこれを用いた手法を開発し、以降の評価で継続的に用いている。
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