春二冠の惜敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 04:49 UTC 版)
クラシック初戦・皐月賞(4月18日)では、前哨戦の弥生賞を制したウイニングチケット(柴田政人騎乗)に次ぐ2番人気(単勝オッズ3.5倍)に支持された。レースでは先行集団を見る形で6番手につけて道中を進み、最終コーナーで2番手まで進出。最後の直線では伸びきれないウイニングチケットを尻目に半ばで抜け出したが、後方から両馬の動きを窺っていたナリタタイシン(武豊騎乗)が大外から一気に追い込み、ビワハヤヒデはゴール直前でナリタタイシンにクビ差かわされ2着に敗れた。ウイニングチケットは5着で入線したが、3着で入線したガレオンが降着となったため、繰り上がりでの4着となった。 岡部は競走後のインタビューで「相手の馬が強かった。しょうがない。ただ、直線でもう少し馬体が合っていたら、結果は違っていたかも……。馬が正直に走りすぎて2000メートル以上走っているよ」などと敗戦の弁を述べた。浜田は後にこの競走を振り返り、「あの瞬間はあっけにとられて、呆然としてしまいましたよ。坂上でウイニングを競り落としたところで、よし勝ったと。それが、手の中に入った瞬間、ポロッとこぼれ落ちちゃったんですからね。それにしても、こちらが乗ってもらおうと思って、結局やめてしまった武君にやられたんだから、皮肉なものですね」と語っている。皐月賞はビワハヤヒデとウイニングチケットの二強争いと見られていたが、これをナリタタイシンが勝利したため、「BNW」と称されたライバル関係が築かれることとなった。 5月30日のクラシック第2戦・日本ダービーでは、皐月賞で4着に敗れたウイニングチケットが前走に続き1番人気、次いでビワハヤヒデ、ナリタタイシンの人気順だったが、オッズはそれぞれ3.6倍、3.9倍、4.0倍と拮抗し、「三強対決」の様相を呈した。スタートが切られると3頭はそれぞれ中団から後方に位置。第3コーナーから最終コーナーにかけて、岡部・ビワハヤヒデは前へ進出しつつ荒れた状態の馬場内側を避け、外向きに進路を取った。しかし直後につけていた柴田・ウイニングチケットは、他馬が避けた内側の最短距離を通り、一気に先頭に立った。最後の直線でビワハヤヒデは逃げるウイニングチケットを追走し徐々に差を詰めたが、半馬身およばず皐月賞に続いての2着となった。3着には追い込んだナリタタイシンが入った。 岡部は競走後のインタビューで「4コーナーでウイニングチケットについていきたかったが、動けなかった。瞬発力の差だ。それに内ラチ沿いは荒れていて、入る自信がなかった。ビワの状態もよかったけど、パドックではウイニングが一番良く見えたし、(柴田は)自信があったから入れたんだろうね。直線ではよく差を詰めたけど、かわせるとは思えなかった」などと述べたが、「力は出し切れたと思うよ。勝った馬が強すぎたよ」とコメントし、ウイニングチケットとこれがダービー初勝利となった同期の柴田を称えた。浜田は馬場状態の良いところを通らせた岡部の判断に理解を示しつつ「それよりも大欅(注:第3コーナー手前)のあたりから4コーナーまでの、300メートルがレースを左右したと思いますよ。岡部君は大欅のところから馬を外に出したんですが、前にいたドージマムテキが急にバテて下がったため、せっかく外に行ったものを、また内に入らざるを得ないというロスがあったんです。あれが何にしても痛かった」と回顧している。 春の二冠はどちらも2着という結果について、浜田は「環境の変化による食欲減退が原因。決して力負けではない」とした。しかしビワハヤヒデは一部のマスコミから「勝負弱い」「距離の持たないマイラー」と書き立てられ、なかには岡部の手際が悪いと指摘したマスコミや、「ダート馬ではないか」と書き立てたマスコミもいた。
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