旧慣使用権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 09:43 UTC 版)
入会権に類似する制度として、地方自治法第238条の6に規定する旧慣使用権(きゅうかんしようけん)がある。 これは、地方公共団体(市区町村、財産区など)の公有地において、市町村制施行以前から存在する旧来の慣行(旧慣)に基づいて利用する者がある場合に、当該公有地を旧慣使用に供される行政財産として、地方自治法に基づき当該利用者に許可される公法上の権利である。旧慣使用権の許可は個人に対するほか、「管理会」や「組合」などと称される権利能力なき社団に対しても許可されることがある。 ため池や水路などで、法定外公共物として公共の用に供される行政財産を使用する権利は、法定外公共物の占用許可であって、旧慣使用権とは異なる。 土地の登記名義が地方公共団体である場合であっても、地方公共団体の関与が登記名義の管理にとどまり、実質が住民との総有関係にある場合は、入会地であって、旧慣使用権による利用ではない。 旧慣使用権は、行政事件訴訟法及び行政不服審査法の適用を受ける公法上の権利であり、変更又は廃止しようとするときは、地方自治法の規定に基づいて、市町村の議会の議決を経なければならない。また、同条第2項において、旧慣使用権の認められる林野など(旧慣使用林野)をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。このように、地方自治法に基づく手続きにより、旧慣使用権者の権利を排除することも可能である。 入会権とは歴史上の起源を同一にし、旧慣使用権者が入会団体ないしその構成員、旧慣使用林野が入会地に対応する類似の法制度である。 入会権近代化法においては、入会権とともに、その権利を消滅させること及びこれに伴い当該権利以外の権利を設定又は移転することをもって、近代化とし、それが立法目的となっている。
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