日本人とツゲの利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 08:50 UTC 版)
庭木によく利用される。成長に時間が掛かるツゲの材木は、木目が細かく緻密で、道管が均一に分布する散孔材で、加工後の狂いが生じにくい。乾燥後の比重は0.8で硬く、黄色みを帯びて美しい。 こうした特徴により、古来、細工物の材料として親しまれ、印鑑、将棋の駒、版木、そろばんの珠、三味線のバチ、彫刻、ブローチなどの装身具、家具指物、下駄などに用いられてきた。現代ではツゲ材の将棋の駒は高級品であり、工芸品・美術品としての価値があるとみなされている。特に、堅く誤差の少なさが要求されるような物に適している。一般の印材、字母印材、彫刻材としてもっとも優秀である。製図機、測量用具などの重要な部材でもあり、かつては義歯にも使用された。版画の台木はサクラ材が主だが、人物の頭髪のような繊細な彫刻を必要とする部分のみツゲ材を埋め込んで使用することもある。とりわけ日本で重用されたのが櫛である。ツゲ製の櫛は藤原京や平城京跡からたびたび出土している。 シャムツゲ 将棋の駒など細工品の用途では、材が淡黄褐色かつ緻密でツゲに似るタイ産のアカネ科クチナシ属のプッド Gardenia collinsiae(Wikispecies)を「シャムツゲ」と称し、安価な代用品として輸入されてきた。しかしシャムツゲの品質は著しく劣る。現代では、特に関東以東ではシャムツゲが大半を占めているとされていたが、公正取引委員会は「ツゲ」ではないものを「ツゲ」と表示することに対して是正を求め、「外国産アカネ」と表示されることになった。
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