日本におけるパブリシティ権の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 04:47 UTC 版)
「パブリシティ権」の記事における「日本におけるパブリシティ権の性質」の解説
財産権説 日本においてパブリシティ権が初めて俎上に上がったマーク・レスター事件やおニャン子クラブ事件の判決では財産権の一部であるとする見解が示唆された。パブリシティ権を財産権と解せば、財産権の性質上、譲渡が可能となる。ただし、パブリシティ権を譲渡しても、自分の氏名や肖像を商品として利用することができなくなるのみで、当然のことながら、譲渡したとたん自身の氏名が利用不能になるというわけではない。 この場合、パブリシティ権はある特定の人物の「顧客吸引力」が消滅するまで存続するということになる。こうした学説を唱える学者の一部には、基本的な性質は財産権としながらも、人格権との関わりが非常に強く、特殊な財産権であると考える者や、財産権と人格権の双方の成立を持ち合わせているとする学説を展開する者も存在する。 人格権説 パブリシティ権は権利者の人格から生ずる財産的利益を保護する人格権であるとする学説も存在する。最高裁判所の立場はこれに比較的近く、「人格権に由来する権利の一内容を構成するもの」と判示している。また、ダービースタリオン事件の判決でも「著名人のこの権利をとらえて、「パブリシティ権」と呼ぶことは可能であるものの、この権利は、もともと人格権に根ざすものというべきである。」と判示されている(詳細は後述)。 この見解に立つならば、パブリシティ権は当人の死亡を以て消滅し、権利の譲渡・相続も認められないと考えるのが自然となる。
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