方程式の一般座標化と共変性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 17:10 UTC 版)
「解析力学」の記事における「方程式の一般座標化と共変性」の解説
直角座標系 x , y {\displaystyle x,y} において、質点の質量を m {\displaystyle m} 、ポテンシャル関数を V ( x , y ) {\displaystyle V(x,y)} とすると、運動方程式は、 m x ¨ = − ∂ V ∂ x , {\displaystyle m{\ddot {x}}=-{\frac {\partial V}{\partial x}},} m y ¨ = − ∂ V ∂ y {\displaystyle m{\ddot {y}}=-{\frac {\partial V}{\partial y}}} と書くことができる。これはニュートンの運動方程式をそのまま表しているため見やすく、また座標系を回転してもその式の形状を変えないという性質(共変性;covariant)を持つが、直角座標系が常に便利というわけではない。例えば中心力場における運動の解析では極座標系の方が適しており、また場合によっては運動座標系で考えなくてはならないときもある。このような新しい座標変数は総称として一般化座標(generalized coordinates)と呼ぶ。 一般座標系を用いる場合、直角座標系のニュートンの運動方程式から一般座標系の運動方程式への変換などが要求されることになる。しかし、ニュートンの運動方程式はこのような一般座標系への変換に対しては一般に共変的ではないため、式の形が変わってしまう。 例として、ポテンシャル V ( r ) {\displaystyle V(r)} で表される中心力場における質量 m の質点の運動を考える。運動は初期位置と初期運動量が決定する平面上で行われることになる。その平面上の直角座標系を x , y {\displaystyle x,y} 、極座標を r ( = x 2 + y 2 ) {\displaystyle r(={\sqrt {x^{2}+y^{2}}})} 、 θ ( = arctan ( y x ) ) {\displaystyle \theta (=\arctan({\frac {y}{x}}))} とする。このとき、極座標系の運動方程式は、 l = m r 2 θ ˙ {\displaystyle l=mr^{2}{\dot {\theta }}} とすると m r ¨ = − d ∂ r ( V + l 2 2 m r 2 ) {\displaystyle m{\ddot {r}}=-{\frac {\mathrm {d} }{\partial r}}\left(V+{\frac {l^{2}}{2mr^{2}}}\right)} 、 l ˙ = 0 {\displaystyle {\dot {l}}=0} となる。これは直角座標系におけるニュートンの運動方程式の形とは形式的に全く異なる(共変性を持たない)。 このニュートンの運動方程式の一般座標変換に対して共変性を持たないという欠点が解析力学の出発点である。つまり解析力学は一般座標について式の形を変えない運動方程式の表現をもたらすことになるが、その要求を満たすものの一つがオイラー=ラグランジュ方程式である。
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