新雪 (小説)とは? わかりやすく解説

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新雪 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 00:10 UTC 版)

新雪』(しんせつ)は、藤澤桓夫小説、それを原作とした映画作品、およびその主題歌の題名。

新雪』は、まず、藤澤桓夫による新聞連載小説として、1941年11月24日から1942年4月28日まで『朝日新聞』に154回連載された[1]。連載開始後に太平洋戦争が始まるという時期であったが、「さわやかな恋物語」として好評となり、1942年五所平之助監督によって大映で映画化されて[2]水島道太郎、当時は宝塚歌劇団に在籍していた月丘夢路と美鳩まりが主演して、灰田勝彦が歌った同名の主題歌もヒットした[1]

内容は、国民学校の青年教師・蓑和田を主人公に、女医と恩師の娘との淡い恋愛模様を描くものであった[1][3]

戦後も、楽曲「新雪」は様々な歌手によって歌われた。また1962年1966年には、テレビドラマも制作された。

映画

映画『新雪』は、五所平之助監督のもとで、館岡謙之助の脚本によって大映で製作され、1942年10月1日に公開された[3]

概要

五所平之助監督が松竹退社後初めて大映で手がけた作品。

本作は大ヒットし「大映初めてのヒット作」と評される。

大都映画のスターだった水島道太郎と、当時は宝塚歌劇団に在籍していた月丘夢路が主演した。

おもな撮影地は、兵庫県神戸市の高羽国民学校(後の神戸市立高羽小学校)で、撮影は1942年夏に行なわれ、当時の同校の児童も5年生、6年生を中心に20人ほどがエキストラとして撮影に参加した[1]。映画公開時に、エキストラとして参加した児童たちが映画館へ見に行ったところ、恋愛映画であり子どもは入場できなかった、というエピソードも伝えられている[1]

戦後長く、プリント等が残っていない「幻の映画」とされたが[1]1996年東京国立近代美術館フィルムセンターロシアゴスフィルモフォンド(ロシア国立映画保存所)を現地調査した際に、存在が確認された[4]。後に東京国立近代美術館フィルムセンターがこのフィルムを購入した[1]。現存するのはオリジナル124分のうち84分相当であるが[3]、実際に上映可能な74分相当分だけでもストーリーは理解できるという[4]

スタッフ

  • 脚色:館岡謙之助
  • 演出:五所平之助蕪木淳、小松原力、小倉泰美、菅野恒三
  • 撮影:岡野薫、兼井和郎、中村壽郎、松橋梅夫、井上雅夫
  • 録音:長谷川光雄、増田一美
  • 美術:今井高一、木村威夫
  • 照明:伊東辰雄、安藤眞之助
  • 装置:小山照吉
  • 装飾:三田正武
  • 小道具:河島仁
  • 背景:西牧恭平
  • 園藝:坂根音次郎
  • 工作:島田二朗
  • 衣裳:坂口福松
  • 美髪:寒川ヤスエ
  • 技髪:牧野正雄
  • 音響効果:高野藤夫
  • 普通寫眞:山本松次郎
  • 華道:田島素峡(草心流家元)
  • 現像:東洋現像所
  • 音樂:久保田公平
  • 編輯:辻井正則
  • 製作担当:大中豊
  • 配給:映画配給社

主題歌

ビクターレコード レコード番号:A4351号

出演者

湯川家
片山家
正木家
徳井家
長谷家
國民學校
  • 校長:吉井莞象
  • 古井教頭:斎藤紫香
  • 千葉訓導:石黒達也
  • 伊東訓導:水原洋一
  • 竹井訓導:小杉光史
  • 木村訓導:冬木映彦
  • 若原訓導:若原初子
  • 千明訓導:千明明子
  • 小使さん:赤星瞭
  • 小久保:上代勇吉
父兄會
  • 安藤夫人:吉田八千代
  • 息子:南澤昌平
  • 社長夫人:中野政野
  • 事務長夫人:藤村昌子
  • 老人:岩井昇
  • 退役軍人:加原武門
隣組
  • 食料品店主人:見明凡太朗
  • 高村さん:高村榮一
  • 菊地さん:菊地良一
  • 三井の奥さん:三井知惠
  • 煙草屋のおばさん:小峰千代子
  • 南條さん:南條はるみ
  • 鴨川の奥様:鴨川百合子
  • 仲居:光川京子
  • 看護婦:高松律子
  • 若い夫:松原輝夫
  • 若い妻:文野朋子
  • 少年:奥岡榮二郎
賛助出演
  • 劇團新兒童劇場

楽曲

映画『新雪』の主題歌は、映画と同名の「新雪」として佐伯孝夫の作詞、佐々木俊一の作曲によって書かれ、灰田勝彦が歌い、映画の封切りとともに1942年10月に発売されて、ヒット曲となった。

戦後も、楽曲「新雪」は様々な歌手によって歌われている。NHK紅白歌合戦では、第3回1953年1月2日)に映画の主演女優であった月丘夢路が、後述のテレビドラマではフランク永井が、「名曲紅白」というテーマが掲げられた第33回1982年12月31日)に新沼謙治が、それぞれ歌った[5]

「新雪」は、佐伯孝夫の作詞作品を集めた佐良直美1972年のカバー・アルバム『鈴懸の径 -佐伯孝夫 優しい詩集-』にも収録された。

「新雪」は灰田勝彦の歌の中では、カラオケで歌われる機会が最も多い曲のひとつとされている[6]

テレビドラマ

1962年版

1962年2月1日と同年2月8日の2回に渡って、日本テレビ系列の『武田ロマン劇場』(武田薬品工業一社提供木曜21:45 - 22:30)で放送。

出演者

1966年版

1966年8月30日から同年12月27日まで日本テレビ系列で放送。全18回。前番組『母の曲』に引き続き、サンスターシオノギ(サンスター歯磨=現:サンスター)一社提供。放送時間は毎週火曜21:30 - 22:00。

出演者

スタッフ

  • 原作:藤澤恒夫
  • 主な脚本:辻久一
  • 主な監督:井上芳夫、大塚莞爾(デビュー作)
  • 制作:NTV、大映テレビ室
日本テレビ系列 武田ロマン劇場
前番組 番組名 次番組
幾山河
新雪
(1962年版)
日本テレビ系列 火曜21時後半
サンスターシオノギ一社提供
母の曲
新雪
(1966年版)

出典・脚注

  1. ^ a b c d e f g 「幻の映画「新雪」、60年ぶりに光 灘の高羽小が舞台」『朝日新聞』(大阪朝刊・兵庫)、2004年11月7日、34面。 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  2. ^ 「藤沢桓夫さん死去 大阪文壇の長老格」『朝日新聞』(朝刊)、1989年6月13日、1面。 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  3. ^ a b c 新雪 - allcinema
  4. ^ a b 「ロシアで発見“幻の日本映画” 「新雪」兵庫県宝塚市で27日上映 関西初公開」『読売新聞』(大阪朝刊・阪神)、2004年4月15日、30面。 - ヨミダス歴史館にて閲覧
  5. ^ 灰田勝彦は、紅白歌合戦には6回出場したが、紅白では「新雪」を歌っていない。(灰田勝彦#NHK紅白歌合戦出場歴
  6. ^ 灰田勝彦 カラオケ人気曲ランキング”. カラオケ機能徹底解説 カラカイ. 2014年2月6日閲覧。

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