新人監督
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 05:48 UTC 版)
相米監督は新しい試みを色々実行しようとしたが反対する人も多かった。単純に新人監督を見下す人や不安視するベテランもいた。「〔新人監督が〕ほとんど演技のできない子供を集めて〔映画が作れるのか? 〕」といったものもあった。それらは、陰口だけではなく、あからさまのこともあり、撮影現場で直接監督に意見する人もいた。新人監督の相米が辛い立場なのは薬師丸も理解していた。 鶴見は相米監督からドラマ『金八先生』(1979年)みたいな陰気な芝居をしないように注意された。1カット撮影するのに1日を掛けてくれたので、鶴見は緊張感から開放された。相米監督は演技の未熟な薬師丸たちが出来るようになるまで撮影に時間を掛けてくれた。その時間の長さが相米監督の愛情だったと薬師丸は思っている。 相米監督からの指示は抽象的な言葉で、鶴見が具体的な内容を尋ねても自分で考えるように言われた。大雨の夜のシーンでも、相米監督は「日本一の傘の芝居」をするように言うだけで具体的な指示はなく、鶴見に考えさせた。薬師丸も相米監督から「自分で考えろ」とよく言われた。 メインキャストの鶴見・薬師丸・尾美としのり・石原真理子の4人は相米監督から「ゴミ」・「ガキ」と常に怒鳴られていた。薬師丸は監督に褒められるために、何回も自転車で壁に突っ込むシーンに挑んだ。 相米監督は決定稿にもある序盤の「勇介の田舎の生活」・「上京する電車シーン」を撮影していない。勇介にとって重要な女性であるスナック・ジョーカーの絵里は、映画の早い段階で出てきてこそ意味があるはずなのに、そこがカットされてしまったと伊地智は指摘している。 伊地智は、ラストのモグラ叩きのシーンで薬師丸のクローズアップがないので、相米監督にリテイクを命じたが、相米は全く同じように撮り直してきた。そのため、最終的にリテイク前の最初のテイクが映画では使われている。伊地智はリテイクは無視されたが、わだかまりはなくモグラ叩きのシーンの良さは理解していると発言している。 日数オーバーは1週間ぐらい、予算も1億を超えないで、相米監督の作品のうちでも一番順調な映画だったと伊地智は答えている。
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