政治学・歴史学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 18:10 UTC 版)
帝国であるための主な要件は、 中央政権の力が実質的に及ぶ範囲が判然とせず、明確な境界線を持たないこと 中央政権とは異なる背景を持った独自の地方政権または集団と共存し、それら多様な集団を中央政権が法や宗教を通して間接的に束ねる多層的な支配であること である。より簡略には、前者は「複数の国に跨る」または「通常の国より広範な」、後者は「複数の民族を含む」などとも表現される。帝国の支配体制は複合君主制や複合君主制を代行する属州総督制あるいは連邦的な分権支配によって特徴づけられる。帝国には明確な境界線がないため、その支配は単一の国家を超えて無制限に膨張しようとする傾向がある。そして帝国が周辺地域への拡張を続けるならば、新たに取り込んだ周辺地域によって、帝国には更なる多様性が再生産される。ローマ帝国、神聖ローマ帝国、イギリス帝国、中国の諸王朝などが典型的な帝国である。 そのほか、「強力な軍隊が整備されていること」や「統治の正統性を保証する理念を持つこと」、「世界経済における支配的勢力であること」などを一般的な特徴として挙げる者もいる。 一方、中央政府が明確な領域内で軍隊や警察といった物理的強制手段を独占する一元的支配は、国民国家と呼ばれて帝国とは区別される。近世・近代以降に誕生した「皇帝」を君主号として国号を「帝国」とした国々のほとんどは、分類上は帝国ではなく国民国家である。
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