支持装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:19 UTC 版)
支持装置は振り子の弦を固定する部分であり、任意の方向に振り子を振動させることが必要がある。また横振動を抑止し、長時間振動を続けるために、隙間なく1点で固定し、かつ機械的摩擦抵抗が小さいことが望まれる。振り子の弦の支持装置として「固定型」、「やじろべえ型」、「ナイフエッジ型」、「自在継手」などが考えられる。 「固定型」による弦の支持は、弦を単純にボルトで締め付けたり、チャックで固定することで、弦の弾性変形より振り子を振動させる方法である。構造が単純で1点支持のため減衰が少ない。しかし、弦をボルト留めする場合、弦にボルトを通す穴が必要となり、この穴の隙間の影響による楕円運動の発生の可能性がある。また弦に直接曲げ力が働くため疲労破壊の可能性もある。 「やじろべえ型」は振り子の弦をお椀型または円環型の器具に固定し、この器具を上向きの針で1点固定する方法である。しかし「やじろべえ型」では、振り子の振動面が回転すると針を支える構造体と干渉を起こす。このためフーコーの振り子には不向きな支持構造である。 「ナイフエッジ」は弦の上端を三角柱の部材で固定し、この三角柱の角(ナイフエッジ)で、受け部材に載せて支持するものである。「ナイフエッジ」による支持装置は、機械的な摩擦抵抗が非常に小さいが、エッジや受け側の摩耗やそれらの間への塵の侵入などが問題となる。フーコーの振り子の場合は、振動面の回転方向へ働く抗力も減らす必要があるため、「ダブルナイフエッジ」を使用する。「ダブルナイフエッジ」とは、互いに向き合った2組のナイフエッジを直交させて中間リングで受けて、1点で回転中心になるようにしたものである。 ヘイケ・カメルリング・オネスはフーコーの振り子の研究で博士号を取得しているが(後述)、使用したフーコーの振り子はダブルナイフエッジによる支持装置を採用している。ナイフエッジ側に板バネを取り付け、中間リングを両側から押し付けを調整できるようになっている。これを調整することにより、フーコーの振り子における楕円軌道の研究を行った。 国立科学博物館のフーコーの振り子も、機械摩擦低減のため「ダブルナイフエッジ」による支持装置に採用している。これは1934年に設置されたが、ドイツの機械工学雑誌に掲載されたものを参考に、東京計器製作所(現:東京計器)が製作した。 国際連合本部ビルにあるフーコーの振り子の支持装置は自在継手を採用している。
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