損失補償を用いる理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 04:48 UTC 版)
「損失補償 (財政援助)」の記事における「損失補償を用いる理由」の解説
民間企業において子会社等が借り入れをする場合に「債務保証」を付すことはよくあるが、政府又は地方公共団体においては、会社その他の法人の債務について、総務大臣の指定する会社その他の法人でない限り、保証契約を付すことはできない(「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」(財政援助制限法)第3条)。なお、「法人」に対してとあるが、その趣旨からして個人についても同様と解釈するのが相当である。 これは、地方公共団体がその関係する法人等が負う債務に対して債務保証を付けることを許していると、当該団体の直接の債務ではないにしても、法人の事業の状態によっては何時発生するかわからない不確実な債務が増加し、当該団体の財政基盤を危うくすることを避けるためのものである。 特に、第三セクターへの損失補償において問題視される。 第三セクター等にとっては、「損失補償」をつけることにより、実質的な「債務保証」として、地方公共団体の高い信用力を背景に必要な資金を金融機関等から調達できる。 また、金融機関にとっても、第三セクター等に対する融資は、そのバックに自治体が控えているとはいえ、全くの担保がない状態では融資しづらい。しかしながら、自治体の「損失補償」があれば、「保証」に替わるものとして取り扱えるという利点がある。また、一般的に第三セクターは自社名義での不動産等の有形固定資産を有しないことが多く、金融機関にとって担保となるものがまずないことも要因としてある。 地方公共団体にとっても、が第三セクターに対して、出資金や貸付金、補助金の支出といった形で財政支出を行おうとすれば、歳出規模の拡大につながり、また機動的に供給することは難しいため、「損失補償」を用いてきた事情がある。 なお、いわゆる地方三公社のうち、「土地開発公社」と「地方道路公社」については、それぞれ法律で、自治体は債務保証を行うことが認められており、これら二つの公社への融資に当たっては「債務保証」が用いられる。
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