抗生物質の投与禁止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 01:25 UTC 版)
抗生物質(狭義の抗菌薬)は、抗細菌作用しか持たないため、風邪の8 - 9割を占めるウイルス感染には、全く効果がない。また、安易な抗生物質の投与は、薬剤耐性の出現を助長し、近い将来には全ての抗生物質が効かなくなる。患者も抗生物質の投薬要求をやめるべきである。 アメリカ家庭医学会のガイドラインでは、ヒトの風邪に対して、抗生物質を使用すべきではない(should not be used, エビデンスレベルA)。原因微生物として、化膿レンサ球菌やマイコプラズマや溶連菌感染症が疑われる場合、細菌の二次感染が疑われる場合を除いて、抗生物質の投与は止める。 厚生労働省は「抗微生物薬適正使用の手引き」を作成しているが、その第1版 (p.12) では、日本呼吸器学会、日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会のガイドラインが推奨していないため、抗生物質は投与しない。コクラン共同計画によるメタアナリシスでは、抗生物質の使用によって鼻炎が増えていることが判明した。 抗生物質の処方を控える、もしくは遅らせるべき患者(NICE, 2008) 風邪 急性中耳炎 急性咽喉炎/急性咽頭炎/急性扁桃炎 急性副鼻腔炎 急性咳/急性気管支炎 なお風邪の症状で受診しても、 発熱や炎症部位などから医師の判断で抗生物質の投与が妥当と判断されることもある。英語での用法も参照。
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