抗生物質の標的としてのリボスイッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/19 14:32 UTC 版)
「リボスイッチ」の記事における「抗生物質の標的としてのリボスイッチ」の解説
リボスイッチは新たな抗生物質の標的となりうる。実際に、機序が長らく不明だったいくつかの抗生物質はリボスイッチを標的として働くことが明らかになった。例えば、抗生物質ピリチアミンが細胞に入ると、ピロリン酸ピリチアミンへ代謝される。ピロリン酸ピリチアミンはTPPリボスイッチに結合して活性化し、細胞にTPPの合成と輸送を停止させることが明らかにされている。ピロリン酸ピリチアミンは補酵素TPPの代用にはならないので、細胞は死ぬ。リボスイッチが抗生物質の標的として潜在的に持つ利点には、多くのリボスイッチはゲノム当たり複数あって、それぞれが複数の(その多くが不可欠な)遺伝子を含むオペロンを制御しているということがある。それゆえ細菌がリボスイッチの突然変異により耐性を発達させるには、すべてのリボスイッチが突然変異を起こさなくてはならない。とはいえ他の耐性機構もあり、例えば薬剤を排出する輸送体の特異性が変化するなどの場合には、少数の変異だけですむ。しかし不可欠ではないことが示されているリボスイッチも多く、これらは効果的な抗生物質の標的にはなりそうにない。
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