抗生物質によるフィラメント化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 07:31 UTC 版)
「線維化」の記事における「抗生物質によるフィラメント化」の解説
ペプチドグリカン合成阻害剤(例:セフロキシム、セフタジジム)の中には、隔壁でペプチドグリカンを架橋する原因となるペニシリン結合タンパク質(PBP)を阻害することでフィラメント形成を誘発するものがある(例:大腸菌および緑膿菌のPBP3)。側壁合成に関与するPBPは、セフロキシムやセフタジジムの影響を比較的受けないため、細胞の伸長は細胞分裂なしで進行し、フィラメント化が観察される。 DNA合成阻害およびDNA損傷抗生物質(例:メトロニダゾール、マイトマイシンC、フルオロキノロン、ノボビオシン(英語版))は、SOS応答(英語版)を介してフィラメント化を誘発する。SOS応答は、DNAが修復されるまで隔膜形成を阻害し、この遅延により、損傷したDNAの子孫への伝達が停止する。細菌は、Zリングの形成を阻害するFtsZ阻害剤であるタンパク質SulAを合成することにより隔膜形成を阻害し、それによってPBP3の動員と活性化を停止させる。細菌が葉酸合成阻害剤(例:トリメトプリム)で処理することにより核酸塩基チミンを奪われると、これもDNA合成を阻害し、SOSを介したフィラメント形成を誘発する。SulAや他のFtsZ阻害剤(例:ベルベリン)によるZリング形成の直接阻害もフィラメント化を誘発する。 いくつかのタンパク質生合成阻害剤(例:カナマイシン)、RNA合成阻害剤(例:ビシクロマイシン(英語版))および膜破壊剤(例:ダプトマイシン、ポリミキシンB)もフィラメント化を引き起こすが、これらのフィラメントは上記の抗生物質によって誘発されるフィラメントよりもはるかに短い。
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